<ひと ゆめ みらい>かつての宿場町、情報拠点に 「KAIDO books&coffee」店主・佐藤亮太(さとう・りょうた)さん(36)=品川区

2020年11月30日 07時29分

旅をテーマにしたブックカフェの説明をする佐藤亮太さん=品川区で

 「かつて宿場町だった品川らしさを生かし、地元を盛り上げたい」
 旧東海道の品川区北品川の商店街で、旅や街道にまつわる本を集めたブックカフェ「KAIDO(かいどう) books&coffee」を二〇一五年から開いている。
 品川で生まれ育ち、高校卒業後、浅草で人力車を引く観光ガイドになった。街の歴史を交えながら案内しているうち、「そう言えば品川にも宿場町の歴史がある」と地元への関心が芽生えた。
 「観光ガイドをして、街は見せ方次第と学んだ。地元をプロモーションしたいと考えるようになった」という。リクルートに転職し、広告の営業や企画、制作を経験。「地元で何かを始めよう」と五年ほどで退職した。
 最初は人力車を自分たちで組み立てて、品川で走らせた。地元に顔なじみも増え、商店主からチラシやホームページの制作を依頼された。区の地域プロモーションの仕事も請け負うようになった。
 この間、商店街の店が高齢化や後継者不在で次々と閉店。地価の高騰もあってマンションになることに疑問を感じた。
 「祭りやイベントは商店主らが担っていたが、できなくなっていく。土地が高いから、経済的観点では仕方ないかもしれないが、人の縁も疎遠になる。それはどうなのか」
 商店街の空き店舗で、店を開くことを決意した。品川らしさを打ち出す手段として思い付いたのが、旅や街道の本の専門ブックカフェだった。
 近所には、全国各地の歴史や文化、街道の本を集めた古書店の元店主が住んでいる。蔵書の約四万冊を委託販売させてもらう方式にして、このうち約一万三千冊を店内に並べている。
 「かつて品川は全国から旅人が集まり、出発していた旅の拠点だった。全国から情報が集まり、各地の魅力を伝える場にしたい」と語る。
 店を訪れた後、「こんな店が近くにあるといいな」と考え、引っ越してきた常連客もいる。商店街で新規出店を考えている人がいれば、地元や行政の情報を伝えて相談に応じる。今後は映画の上映会なども考えている。
 「住んでいて楽しく、住み続けたくなるような街にしたい。にぎわいや住みやすさに貢献できれば」と思っている。 (宮本隆康)
<KAIDO books&coffee> 品川区北品川2の3の7。営業時間は午前10時半〜午後8時(火曜定休)。月曜は午後5時、土日は午後7時まで。(問)同店=電03(6433)0906へ。

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