自動運転バス、相次ぎ出発 境町、日立市 人口減、高齢化社会の移動手段に

2020年11月30日 07時48分
 高齢化や人口減社会に対応した移動手段の確保を目的に、人が運転や操作をせずに自力で走行する「自動運転バス」を運行させる取り組みが県内で始まっている。境町では、国内初の定常(定時・定路線)運行がスタート。日立市は三十日から、境町よりも大きい中型バスを採用した運行実験に着手する。境町や日立市は、自動運転バスの定着を目指す。 (出来田敬司、荒井六貴)

◆遠隔監視で

乗客を乗せて走りだす境町の自動運転バス=境町長井戸で

 「公共交通が少なく、お年寄りが運転免許を返納しようとしても、できない状況が続いていた。このバスが、明るい未来を照らすようになればいい」
 境町の自動運転バスの出発式が二十五日、町内で開かれ、橋本正裕町長はそうあいさつし、期待を込めた。式典には、関係者約百三十人が出席し、事業の成功を祈った。
 バスはフランス・ナビヤ社製。十五人乗りのミニサイズを三台導入した。動力は電動モーターで最高速度は二十五キロ。多目的施設「境シンパシーホールNA(ナ)・KA(カ)・MA(マ)」と町民の活動拠点「河岸の駅さかい」の間、往復五キロを二十五分で運行する。一日四往復で運賃は無料とした。
 バスは、衛星利用測位システム(GPS)で位置を把握し、センサーで横断歩道の歩行者などを確認する。運行の様子は、町内に設置した遠隔監視システムで把握する。ただ、乗り降りを補助したり不測の事態に対処したりするため、スタッフ二人が同乗する。
 運行事業は二〇二四年度までの五年間で、事業費は五億二千万円。ソフトバンク系の運行管理会社「ボードリー」(東京都)とナビヤ社の代理店「マクニカ」(横浜市)が協力している。
 町は、鉄道の駅がなく乗用車などの移動手段がないと日常生活が難しい。運転手がいる通常の路線バスも、昨今の人手不足などで維持が難しい状況という。

◆買い物に

30日に運行が始まる日立市の自動運転バス(茨城交通提供)

 日立市内で三十日から始まる自動運転バスの実証運行は来年三月五日までの間、中型バスがおさかなセンターとJR多賀駅前間約九キロを往復する。
 バスは一日四往復で、うち一往復はJR大甕駅西口まで。十二月四日までは無料だが五日からは有料。利用には事前の予約が必要となる。
 この自動運転バスは、経済産業省と国土交通省が国内五カ所で実施する実証実験の一つ。日立市内では茨城交通が運行主体となり、バス専用道を走る「ひたちBRT」の既存路線の便を増発する形で運行する。
 自動運転を導入するメリットについて、茨城交通は(1)人による事故やミスをなくせる(2)運転士不足をカバーでき人件費も削減できる(3)労働時間の制限がなくなる−などを挙げ、将来の定常運行も見据える。
 自動運転バスのほか、日立市では免許返納などをした高齢者らに利用してもらう交通手段を考えるため、金沢団地内で十一月二日から、四人乗りの電動車を運行させる実証実験にも取り組んでいた。
 二十九日に実験は終わり、市都市政策課の小林利行副参事は「一日四十から五十人ぐらい乗ってもらい、想定より多かった。買い物で使う人が目立った。今後、ほかの団地を周遊させるなど広げてやっていければいい。結果をまとめ、検討したい」と、手応えは上々だったという。

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