トランプ氏は反面教師?幹部が全員女性の広報戦略チームから見えるバイデン次期大統領の狙い

2020年11月30日 12時53分

米次期政権の広報幹部として発表された女性7人。下段左端は大統領報道官になるサキ氏(政権移行チームのツイッターより・共同)

 バイデン次期大統領が29日、ホワイトハウスの次期広報戦略チームを発表した。幹部が全員女性の、「バリアー(障害)を打ち砕くチーム」(ハリス次期副大統領)には、政権の多様性をアピールするとともに、トランプ政権で悪化したメディアとの関係を建て直す狙いもあるようだ。 (ワシントン・岩田仲弘)

◆国民と直接対話を好んだトランプ氏…広報チームは萎縮

 「米国民と直接、誠実にコミュニケーションを取ることは、大統領にとって最も大切な義務の1つだ。このチームには、国民をホワイトハウスと結ぶとてつもなく大きな責任が委ねられている」。バイデン氏は29日、声明でこう強調した。

13日、米ワシントンのホワイトハウスで発言するトランプ大統領=AP・共同

 声明には、トランプ政権に対する強い皮肉が感じられる。ツイッターで約8800万人に上るフォロワーを持つトランプ大統領は、国民と直接コミュニケーションを取ろうとする。一方、国民との間に入り、自らに批判的なメディアには「フェイク(偽)・ニュース」、報道関係者には「国民の敵」と非難を繰り返す。
 4年間で、政権の広報戦略を統括する広報部長や大統領報道官はコロコロと交代。自ら情報発信することを好むトランプ氏に広報チームは遠慮し、グリシャム前報道官に至っては昨年7月に就任し、今年4月に退任するまで1度も定例の記者会見を開かなかった。

◆バイデン氏の広報戦略チームは強者ばかり

 一方、バイデン氏は、トランプ氏のように自ら頻繁に記者会見は開かないとみられる。広報戦略チームの顔触れを見ると、まさに「責任を委ねる」姿勢が浮かぶ。いずれも民主党内で要職を歴任してきた強者ばかりだ。

ジェン・サキ氏(共同)

 大統領報道官には、ジェン・サキ氏を起用。サキ氏は2004年大統領選でジョン・ケリー氏(気候変動問題担当の次期大統領特使)、08、12年にオバマ前大統領の選対でそれぞれ広報を担った。その後、オバマ前政権でホワイトハウスの副報道官や広報部長、ケリー氏が国務長官当時に国務省報道官を歴任した。
 次期政権の広報戦略を統括するホワイトハウスの広報部長には、バイデン氏陣営の選挙対策副本部長兼広報部長として、主要メディアで陣営の戦略などを説明してきたケイト・ベディングフィールド氏を起用。副大統領顧問兼報道官には、同じくバイデン氏陣営の顧問として広報を担った黒人のシモーン・サンダース氏が起用された。

◆バイデン氏を窮地から救ってきた「戦友」

 ベディングフィールド、サンダース両氏は、バイデン選対の顧問アニタ・ダン氏(女性)とともに、バイデン氏を何度か窮地から救ってきた「戦友」だ。
 昨年6月の民主党大統領候補者討論会。当時、有力候補だったハリス氏は、人種差別解消のために黒人居住地域の生徒を白人地域の学校にバス通学させる政策にバイデン氏がかつて反対していたと批判。「そのバスに乗っていた少女は私だった」と痛烈に攻撃し、バイデン氏は窮地に陥った。
 討論会後、報道陣約30人に囲まれ、質問を次々と浴びせられた3人は一体となって対応。サンダース氏はその後、月刊誌マリ・クレール(電子版)で「塹壕ざんごうに入って、彼女らほど心強い者はいない」と振り返っている。
 サンダース氏は2016年大統領選でバーニー・サンダース候補の報道官を務めた。当時25歳。米メディアで「史上最年少の大統領候補の報道官」と話題になった。今回はバイデン氏陣営に加わり、進歩派や黒人、若年層との連携強化に努めたとされる。
 ハリス氏の広報部長に起用された黒人のアシュレー・エティエンヌ氏は、女性で初めてペロシ下院議長の広報部長を務めた。ハリス氏は声明で「これらコミュニケーションのプロたちは、国民の姿を最も反映したホワイトハウスをつくり上げるという私たちの決意を表している」と強調した。

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