在宅バラエティー・直接会わずにドラマ… コロナ禍のTV、手探りの日々

2020年5月9日 02時00分

「特別編」を放送中の日テレ系「野ブタ。をプロデュース」に主演の亀梨和也(左)と山下智久。2005年に放送されたドラマが好評を博している

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、テレビは報道系や情報系番組以外の制作がほぼ止まったまま。各局は苦肉の策で過去の人気ドラマの再放送や、かつての収録映像の再構成などでしのいでいるが、政府の緊急事態宣言が延長され、苦しい状況はまだ続きそうだ。番組制作のあり方を根本から変える必要に迫られそうだ。 (原田晋也)
 「野ブタ。をプロデュース特別編」(日本テレビ系、二日午後十時)、「ノーサイド・ゲーム特別編・第2夜」(TBS系、三日午後八時)-。ゴールデンウイーク中、各局の番組表には、過去作品の「特別編」や「総集編」が並んだ。バラエティーも出演者がリモート出演し、過去の映像を見ながらコメントする形式が大勢を占めた。
 放送途中の作品が休止になるなどアニメにも影響した。フジテレビ系「ワンピース」(日曜午前九時半)、テレビ東京「ポケットモンスター」(日曜午後六時)など国民的人気作品も再放送に切り替わった。あるテレビ関係者は「アニメの制作現場は“三密”の典型。何人もいるせまい部屋で数本のマイクで代わる代わる声を吹き込むアフレコは、国の基準に照らして最悪の環境」と説明する。
 こうした中、テレ東は「在宅バラエティー」と銘打ち、出演者が自宅からテレビ電話でトークする「出川・IKKO・みやぞんの割り込んでいいですか?」を放送。通信エラーで会話が止まったり、話しだすタイミングが合わなかったりとハプニングに遭いつつ手探りで進行した。五月十日午後四時にも放送される。
 NHKはスタッフや出演者が直接会わずに収録した「今だから、新作ドラマ作ってみました」を八日までに三作放送した。「今流行のソーシャルディスタンス」といった時宜にかなったせりふが飛び出すなど、意欲的な作品となった。
     ◇
<元NHK職員で次世代メディア研究所の鈴木祐司代表の話> 再放送のドラマは時代性、普遍性、娯楽性を備えた「再放送力」のある作品が高視聴率で目立った。コロナ禍を奇貨とし、全て新しく作るのではなく、今後は再放送することを織り込んだ作品作りを広告主と話し合って進めた方が、視聴者にとっても悪くないのではないか。
 テレ東の在宅バラエティーやNHKのテレワークドラマは、画質も音も悪く興ざめしてしまい、長く見ていられない。この点、日テレはバラエティーで遠隔出演の映像を最小限にして飽きさせない見せ方がうまかった。テレビの広告収入は間違いなくがた落ちする。制作費も下がり、遠隔出演的なやり方の必然性は高まっていく。今は緊急避難的にいろいろな取り組みがされているが、今後明暗がはっきりしていくだろう。

◆CM直撃、ACジャパン急増 中高生「自撮り動画」で制作も

 新型コロナウイルスの影響は、テレビCMも直撃している。CMの動向などを調査しているCM総合研究所によると、企業が出稿を控えた場合に流される「ACジャパン」のCMが急増しているほか、CM内容にも大きな変化がみられるという。
 在京キー局では、政府が小中高校に臨時休校を要請した2月27日を境にACジャパンのCMが増加。4月1、2日にはそれぞれ110件を超えた。翌日から減少したが、緊急事態宣言が発令された7日には再び増加に転じ、外出自粛が続く中で4月末にも増えた。
 生産ラインが止まった影響で、家電など耐久消費財の出稿量が減少。特に自動車の車種CMは2月20日~3月19日に前年の5745回から3789回に減った。例年、4月1日には平均約130件の新CMが放送されるが、今年は2001年の観測開始以来最少の78件だったという。
 こんな中、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」は現在休園中であることを表記してCMを展開。大塚製薬「ポカリスエット」のCMは、大勢の中高生が自撮りした動画で合唱を披露する“リモート撮影”で制作。ACジャパンも、ウイルス対策を呼び掛ける臨時キャンペーンを始めた。

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