「桜を見る会」捜査で揺らぐ安倍氏の強気の国会答弁 与党内からも「自らの言葉で説明を」 

2020年12月1日 06時00分
 安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前日の夕食会を巡り、安倍氏が在任中に連発した強気の国会答弁が大きく揺らいでいる。明確に否定していた疑惑に捜査のメスが入り、虚偽だった疑いが浮上しているからだ。野党は国会で追及を強め、与党からも本人が説明すべきだとの声が上がり始めた。(山口哲人)

◆「支出一切ない」強弁繰り返し

 「最高権力者が堂々とうそを重ねる国では、全ての政策を信頼できなくなってしまう」
 立憲民主党の古賀之士ゆきひと氏は30日の参院本会議で安倍氏を批判。さらに、官房長官として同様の見解を示し続けてきた菅義偉首相にも、閣僚は国会で誠実な答弁と正確な説明の義務を負うと解釈される憲法63条の規定を引いて「前首相の事務所に関わることとはいえ、国会答弁が事実と異なっていたとすれば、誠実に答弁したと言えるのか」と語気を強めた。
 一連の問題が発覚した昨年11月以来、安倍氏は退陣した今年9月まで1年近くにわたり、桜を見る会に関連する一連の疑惑を全面的に否定してきた。夕食会を巡っては、会費が高級ホテルの宴会料金の相場を大きく下回るとの指摘に「ホテル側が設定した」と説明。差額の補填についても「後援会としての支出は一切ない」と断言した。ホテル側からは明細書などを受け取っていないとも説明し、疑問を呈する野党議員に首相の答弁だとして「信用できないなら、そもそも予算委(国会審議)は成立しない」と強弁した。
 菅首相も当時は「国会の発言は極めて重い」などと指摘。独自に事実関係を確認することなく、歩調を合わせていた。

◆与党内にも説明責任を問う声

 だが、安倍氏の公設秘書が東京地検特捜部の任意聴取を受けた際、明細書の受領や費用の一部補填を認めたと報じられ、政治資金規正法違反などの疑いが浮上すると、状況は一変した。
 衆院調査局によると、安倍氏が在任中、夕食会を巡る疑惑を否定した本会議や委員会の国会審議は33回に上る。「1回の審議で何回も同じ答えを繰り返しているので、実際には数百回に及ぶ」(野党議員)という見方もある。
 野党は国民を代表する国会を「ないがしろにした」(立民の福山哲郎幹事長)と反発。30日も安倍氏の国会招致を重ねて要求したが、与党は拒否する構えを崩さなかった。自民党内には「あれだけ言い切っているから、本人は補填を知らなかったと思う」(閣僚経験者)との見方の一方で「自らの言葉で説明責任を果たしていくべきだ」(野田聖子幹事長代行)との声も広がりつつある。

◆足早に立ち去った安倍氏

 「ひとりひとりの政治家が自ら襟を正し、説明責任を果たすべきものだ」。安倍氏は在任中、閣僚に「政治とカネ」の問題などが表面化すると、当事者に対応を促していた。ところが今回、同じ立場に置かれると、短い取材に1回応じただけ。言行不一致が鮮明になっている。
 安倍氏は30日、党青年局主催の会合に顔を見せたが、桜を見る会については発言しなかった。終了後は足早に立ち去った。

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