時短・休業要請 国の支援強化が急務だ

2020年12月1日 06時42分
 東京都や名古屋市などで飲食店を対象とした時短・休業要請が始まった。コロナ禍が緊迫の度を増す中、やむを得ない措置だ。ただ多くの店の経営は限界にきており、国による支援強化が急務だ。
 営業時間短縮などの要請は大阪府や札幌市も含め四都道府県となった。菅義偉首相は先月下旬「この三週間が極めて重要」と危機感を募らせた。状況次第では、要請に踏み切る自治体が拡大することもやむをえまい。
 時短や休業要請に応じた飲食店は自治体から協力金を受け取ることができる。時短の場合、都内では一律四十万円、名古屋市は最大四十万円。協力金は都道府県が蓄えた財政調整基金から支出する。
 現在、多くの自治体で基金の残高が激減している。コロナ禍対策で支出が膨張したためだ。国は一定の上限を設けた上で支出の八割を支援する方針だ。
 だが各飲食店からは「現行の協力金だけでは足りない」との声が噴出している。時短要請が実施されると繁華街への客足自体も遠のき売り上げが一層減るためだ。
 五月下旬の緊急事態宣言解除後もコロナ禍前の売り上げを確保している店は少ないはずだ。苦境の中での要請に応じない店も増えるとみられ感染対策の実効性が問われる事態も容易に想像できる。
 廃業や閉店に追い込まれた場合、被害はその店の家族だけにとどまらない。従業員は働く場を失い、取引先や運送業者、さらには生産地も打撃を受ける。飲食店の経営難は国内経済の流れの一部を寸断する深刻な事態を招く。
 国は本年度の第二次補正予算に十兆円超の予備費を盛り込んだ。このうち七兆円が残っている。自治体の財政が逼迫(ひっぱく)しているのなら予備費を躊躇(ちゅうちょ)なく投じてほしい。
 第三次補正予算の編成作業も進んでいる。与党内からは、三十兆円を超える大規模補正を求める声が出ている。
 ただ重要なのは規模よりも具体的な中身だ。三次補正の項目としてデジタル化関連や災害対策なども入る。しかし三次補正はコロナ禍で苦しむ国民を直接救済することが目的のはずだ。
 三次補正は飲食店支援も含め、感染対策に具体的効果のある項目に絞るべきだ。各省庁は省益を優先して予算獲得を目指す傾向も目立つ。
 財政当局は菅首相の陣頭指揮の下、極限まで厳しく査定作業を実施し、コロナ禍に向き合うべきである。

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