多様な顔ぶれで格差是正に挑むバイデン政権 イエレン財務長官ら経済チーム決まる

2020年12月1日 20時52分

バイデン次期米政権で財務長官に指名されることになったジャネット・イエレン氏=ロイター・共同

 【ワシントン=白石亘】バイデン米次期大統領は11月30日、新政権の経済チームを発表した。経済政策の司令塔となる財務長官には、ジャネット・イエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長(74)を指名した。他の主要ポストにも女性を充て、人種など多様性に富んだ顔ぶれで格差是正に挑む。

◆「経済の構造的な不平等に対処できるメンバー」

 バイデン氏は声明で「このチームは新型コロナウイルスで最も打撃を受けたコミュニティーを支援し、経済の構造的な不平等に対処できる画期的なメンバーで構成されている」と強調した。
 コロナ禍で、飲食店員ら中低所得層が職を失う一方で、富裕層は最近の株高でさらに資産を増やし、格差は一層広がった。「中間層の復権」をうたうバイデン氏は、経済再建と並び格差是正を優先課題に掲げる。
 イエレン氏はFRB議長に続き、財務長官でも女性初という輝かしい経歴に注目が集まるが、「弱者への共感や思いやりが持ち味」(USAトゥデー)との人物評も多い。ニューヨークの下町生まれで、医師の父親が近所の工場労働者をかかりつけ医としてケアするのを見て育った。雇用が専門の学者出身で、労働者の尊厳を損なう失業についても深い洞察を示す。イエレン氏は同日、「人々が潜在能力を発揮できるアメリカンドリームを取り戻す」とツイートし、社会階級の固定化を打破する決意を示した。

◆インド系女性タンデン氏、アメリカンドリーム体現

 今回の人事で、自らがアメリカンドリームを体現したような経歴の持ち主なのが、行政管理予算局(OMB)局長に指名されたニーラ・タンデン氏(50)だ。インド系女性のタンデン氏は、幼少期に低所得者向けの食料支援を受けつつ、シングルマザーの母に育てられ、現在はリベラル系シンクタンク所長として社会的な成功をつかんだ。ただタンデン氏の左派的な主張に、上院共和党では人事の承認に難色を示す動きもある。

ニーラ・タンデン氏=バイデン陣営提供

 経済政策を助言する大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に起用されたのは、黒人女性のプリンストン大の労働経済学者セシリア・ラウズ氏(56)だ。議会に承認されれば、黒人のCEAトップは初めてとなる。

セシリア・ラウズ氏=バイデン陣営提供

 米国ではコロナによる黒人の死亡率が白人の2倍以上との研究もある。背景には黒人が十分な医療を受けられないなど、人種間の格差が横たわる。多様な人種の女性が陣頭指揮を執るバイデン政権の経済チームに、左派からは「ドリームチーム」と期待が高まっているが、米国社会に根差した構造的な格差にどこまで切り込めるか注目される。

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