持続化給付金5億円分を誤って支給 スピード審査裏目、ミスすり抜け<経産省>

2020年12月2日 05時50分
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で月の売り上げが前年から半減した中小企業などに最大200万円を支援する持続化給付金を巡り、経済産業省が要件を満たさない企業などに誤って計約5億円分を支給していた。5月に制度が始まって半年以上たつが、現在も給付申請は1日5000件程度に上る。迅速な給付を目指すあまり、ミスをチェックする目が緩んだ可能性がある。(森本智之)

◆委託先企業の申請システム不具合

 経産省は27日、10~11月に536件の支給ミスがあったと発表した。原因は、事務委託先のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが整備した申請システムの不具合。売り上げの減少を証明する書類に不備があるのに特定の操作をすれば、申請できるようになっていた。
 売り上げの減少は基本的な支給要件にもかかわらず、人の目による審査でチェック対象になっていなかった。経産省幹部は「審査スピードとの兼ね合いで、システムをすり抜けるものがある前提になっていなかった」と説明。ミスは受給者の連絡で発覚したが、連絡がなければ「気付かなかった可能性は高い」という。
 もともと持続化給付金はコロナ対策で急いで配ることが重視された。ネット上で申請し、最低限の裏付け資料を添付すればよい。全国で急増する不正受給は、簡素化された手続きに付け込まれた。

◆チラシの裏に走り書きでも申請通す

 審査事務を担当した女性は「『遅れると国会で追及されるので急いで』と命じられ、チラシの裏に走り書きしたような売り上げ記録でも要件が整っていれば通した」と明かす。特に、確定申告書での証明が必要な前年の売上高に比べ、今年の売上高は裏付けが難しい。経産省幹部も「申請内容を信じざるを得ない面がある」と認める。
 不正受給した都内の男性は取材に「その月の売り上げを別の月に付け替えて減ったように見せ掛けたが、ばれなかった」と話した。
 経産省は9月以降、不正が疑われる申請は重点的に調べるなど審査を強化したと説明する。しかし、今回のミス発覚で、体制の甘さが浮き彫りとなり、経産省の監督責任があらためて問われる。
 経産省によると、11月30日現在の給付件数は当初の想定の2倍近い383万件に達し、給付額は約5兆円になった。一方で、不正受給者による自主返納の申し出は約8900件に上る。

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