アルメニアが支配地域ナゴルノを返還 アゼルバイジャンと停戦合意

2020年12月2日 06時00分
【モスクワ=小柳悠志】アゼルバイジャン西部ナゴルノカラバフ地域を25年以上にわたり実効支配してきたアルメニアは11月30日、両国の停戦合意に基づく返還対象地域を明け渡した。これを受けて1日、アゼルバイジャン政府は対象地域が統治下に戻ったと発表したが、アルメニアでは停戦合意に反発する声も根強い。
 停戦は6週間にわたる軍事衝突の後、ロシアのプーチン大統領の仲介で11月10日に発効。事実上敗北したアルメニアは11月末までにナゴルノカラバフ地域の3地区を順次、返還することが決まっていた。
 現地報道によると返還される地区ではアルメニア系住民が、自宅に放火してから去る例が後を絶たない。西部ラチン地区から退去する住民はロシア紙の取材に「この家に23年住んできた。(後から来る)アゼルバイジャン人のために残すつもりはない」と語った。
 アルメニアはナゴルノカラバフ旧自治州だった地域の一部も失う。旧自治州とアルメニア本国を結ぶ幹線「ラチン回廊」は通行の安全が保障される条件だが、15万人とされるナゴルノカラバフの人口が急減するのは必至とみられる。

 ◆ロシア軍が駐留して影響力を拡大 

 アルメニアの首都エレバンの作家エレナ・アスラニャンさん(59)は本紙に会員制交流サイト(SNS)を通じ「アルメニアにとって最も不利な条件の停戦合意になった責任は、ひとえに政権にある」と語った。アルメニアのパシニャン首相はこれまで「実効支配地域を残すためには停戦はやむを得なかった」としているが、野党支持者ら多くの市民が政府を非難し退陣を要求している。
 ナゴルノカラバフ一帯ではロシア軍が2千人弱の平和維持部隊を展開しており、地雷の撤去やインフラ整備を支援する。調停者として駐留することで、周辺地域への影響力を強める狙いとみられる。
 ナゴルノカラバフ旧自治州ではソ連末期、アルメニア系住民がアゼルバイジャンからの分離独立を目指して紛争に。1994年にロシアなどの仲介で停戦合意したが、アルメニア側が旧自治州と周辺を実効支配することを認める内容だったため、アゼルバイジャンは不満を募らせていた。

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