香港民主活動家に実刑判決 密告用ホットライン設置、大学内を捜索…国安法で言論の自由に圧力

2020年12月2日 22時08分
11月、香港の裁判所敷地内で記者会見する民主派の(左から)周庭氏、林朗彦氏、黄之鋒氏=共同

11月、香港の裁判所敷地内で記者会見する民主派の(左から)周庭氏、林朗彦氏、黄之鋒氏=共同

  • 11月、香港の裁判所敷地内で記者会見する民主派の(左から)周庭氏、林朗彦氏、黄之鋒氏=共同
 【上海=白山泉】香港で昨年から続く反政府デモを巡り、民主活動家の周庭しゅうてい黄之鋒こうしほうら3氏に2日、実刑判決が下された。2014年の雨傘運動をはじめ、普通選挙を求めるなど言論の自由を訴えてきた象徴的な存在だったが、事実上封じ込められた。香港政府は密告制度なども利用して政府批判を抑え込んでおり、中国政府による直接統治への移行期間のような様相を呈している。
 今年6月末の香港国家安全維持法(国安法)施行後も一貫して政府批判を続けてきた黄氏は、実刑判決後に弁護士を通じて「みなさんと一緒に街に繰り出すことができず申し訳ない。大きな苦しみだろうが私は耐えられる。みなさんも投げ出さないで」とコメントした。仕事で香港と上海を行き来する男性は「今の香港には自由に物が言える気風がなくなった」と顔をしかめる。
 香港中文大学で11月中旬に行われたデモでは、「香港を取り戻せ 革命の時だ」と書かれた旗を振った参加者がいたと大学が通報、警察当局は国安法違反の疑いがあるとして同大キャンパス内を捜索した。香港紙は「自由に物が言える大学キャンパス内であることを望む」と話すデモ参加女性の声を伝えた。
 さらに香港警察の国安部門は、国安法違反が疑われる事例の密告をメールやSNSで呼びかける専用ホットラインを立ち上げた。写真や録音なども含めた情報提供を求めるもので、親中派の立法会(議会)議員は「香港がさらに安全になる」と賛同する。
 報道の自由もますます脅かされている。調査報道番組で有名な大手ケーブルテレビは今月1日、記者や編集担当者の約1割にあたる40人をリストラする方針を発表。これに反発した20人以上の記者が一斉に辞職を申し出た。同社は経営環境の悪化をリストラの理由としているが、天安門事件のドキュメンタリーなども手掛けており、香港記者協会は「敏感な報道を減らすためだ」と指摘。リストラ対象となった若手記者は香港紙に「自由度の高いテレビ局だったが、報道の自由が狭まっている」と話した。
 香港情勢が専門の上海国際問題研究院の張建ちょうけん氏は「国安法の制定により、習近平国家主席が昨年言及した『暴力を止め混乱を制止し秩序を回復する』という目的を達成することができた」と説明する。国安法による威嚇効果が反政府デモを抑え込み、さらには言論を萎縮させる効果が着実に表れているという。

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