これで君も鉄道マン 現役運転士が考案「アドベンチャーライン体操」

2020年12月3日 06時57分

JR八王子駅で「東京アドベンチャーライン体操」の敬礼ポーズをする(右から)運転士の白尾さん、鍋島さん、関根さん

 敬礼や旗を振って電車に合図を送る鉄道マンの動きを取り入れた体操を、JR東日本八王子支社の運転士4人組が考案した。このほどベールを脱いだ体操の名前は「東京アドベンチャーライン体操」。これをマスターすれば、君も運転士になれるかも?
 軽快なリズムに合わせて始まる二分四十秒ほどの体操。ジャンプや前屈、体を伸ばす運動のほかに、駅で見たことのある動きが織り交ぜられている。左手を水平にして、右手を大きく振る動作のモチーフは、休日に奥多摩駅に向かうホリデー快速。拝島駅で車両を連結するときに駅員が旗を振って合図を送る時の動きだ。
 体操を考案した四人は、中央線や青梅線、五日市線の運転士。新型コロナの影響で子どもたちが体を動かす機会が減ったと感じていた関根一年さん(32)が、同僚の白尾拓也さん(31)と大森厚司さん(32)に「楽しんで体を動かせるような体操を作ろう」と提案。音楽が趣味の鍋島直晃さん(34)が、体操に合う音楽を作曲した。コロナ禍の中、オンラインでの打ち合わせとなったが、こだわったのは運転士ならではの動作だ。旗振り、敬礼などホームでの日常的な動作はもちろん、事故などの際に発炎筒で電車を止める動きも取り入れている。
 ラジオ体操が元ネタ?と思う動作もあるが、関根さんは否定しないまでも「JR体操の動きです」と強調する。JR東日本では、車両センターや技術センターなどに勤務する作業員がけがをしないよう、独自の「JR体操」を取り入れている。「国鉄体操」の伝統を受け継ぎ、今でも新入社員は研修でたたき込まれるそうだ。関根さんは「JRならではの体操」と胸を張る。
 体操に込めたもう一つのこだわりは、地元への愛情だ。体操の名称になった「東京アドベンチャーライン」とは、二〇一八年に付けられた青梅線・青梅−奥多摩間の愛称。駅から一歩出れば、そこは大自然。東京にいながらにして本格的なアウトドアを楽しめる東京アドベンチャーラインの魅力を伝えるべく、動物を見つけて指をさし、水平にした手を額にあてて眺める動作も取り入れた。白尾さんは「信号を確認している動きだと思われるかもしれませんけど」と苦笑するが、運転席から見続けている沿線への思いは深い。

大自然の中を駆け抜ける東京アドベンチャーライン(青梅線)=JR東日本八王子支社提供

 十一月二十一日、ついに体操がお披露目される日が来た。昭島駅近くで行われたイベントの会場。白尾さんが「体操始めるよ〜」と声をかけると、ポツリポツリと親子連れが集まってきた。白尾さんの動きをまねて体を動かす子どもたち。次第に気持ちが盛り上がってきたのか、真剣な表情で敬礼をして運転士になりきっていた。
 「今後は同僚社員の協力を得て、SNSを活用して体操を広めたい」と、運転士たちの夢はノンストップ。ホームで、改札で、線路補修の現場で体操をする職員の姿を見てもらえば、地域への愛情が伝わるのではないか。「沿線の保育園でも体操をしてもらい、地域を走る電車に親しみを感じてもらいたい」と期待を込めている。
 文と写真・布施谷航
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