政治とカネ 国会閉じず説明させよ

2020年12月3日 07時43分
 「桜を見る会」前日の夕食会への費用補填(ほてん)に加え、安倍前内閣の元農相への現金提供問題が浮上した。しかし国会は五日に閉会するという。会期を延長して当事者に説明させ、真相を究明すべきだ。
 自民党の吉川貴盛衆院議員が現職農相当時、鶏卵生産大手「アキタフーズ」側から現金五百万円を受領した疑いがあることが分かった。東京地検特捜部は現金の趣旨などを調べているもようだ。
 吉川氏が農相を務めていた二〇一八年十月から一九年九月までの間、同社幹部が役員を務める業界団体は、鶏の飼育を巡る国際規制の強化案に反対する要望書や署名を農林水産省に提出するなど、働き掛けを強めていた。
 現金受領は吉川氏関連の政治資金収支報告書に記載がない。事実であれば、業界への利益誘導も疑われかねない重大問題である。
 この問題について、加藤勝信官房長官は記者会見で、捜査活動に関する事柄についてのコメントは差し控えるとしつつも「一般論としては、政治家は自らの行動について説明責任を果たすことが求められている」と述べた。
 安倍前内閣から続く政権の常套句(じょうとうく)であり、説明責任が果たされたことはないし、政権側が責任を果たすよう促したこともない。
 直近で言えば、「桜を見る会」前日、安倍晋三前首相の後援会が主催した夕食会を巡り、安倍氏側が費用の不足分として一九年までの五年間で約九百万円を補填していたとされる問題である。
 安倍氏は「事務所が補填した事実は全くない」「後援会としての収入、支出は一切ない」などと強弁してきたが、安倍氏周辺は費用の一部補填を認めているという。
 補填が事実なら政治資金規正法や公職選挙法違反だけでなく、安倍氏は国会で虚偽の答弁を繰り返していたことになる。国会で真相を語る責任があるのではないか。
 野党側は安倍氏の国会招致を求めるが、菅義偉首相は「国会でお決めいただくこと」と他人事(ひとごと)だ。
 安倍事務所による費用補填も現職閣僚への現金提供も「政治とカネ」に関する極めて重大な問題だ。放置してはならない。
 しかし、真相究明に当たるべき国会は会期を延長せず、そのまま閉会するという。事の重大性を理解せず、国政調査権や行政監視機能を果たしたとは言えない。
 会期を延長し、安倍、吉川両氏を国会に招致して、事実関係を偽りなく説明させるべきだ。「臭い物にふた」では納得がいかない。

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