インフルエンザ患者激減 新型コロナとの同時流行気配なし?「ウイルス干渉」の可能性も

2020年12月4日 06時00分

2019年10月撮影、横浜市で

 例年ならインフルエンザの流行期に入る時期を迎えたが、今年は厚生労働省への患者報告数が極めて少ない。11月16~22日の1週間で全国の患者は46人だけで、昨年同時期(約1万5000人)の0・3%。専門家は、異なるウイルス同士で感染を阻害する「ウイルス干渉」の可能性を指摘。新型コロナウイルスとの同時流行の気配は今のところないが、警戒は必要という。(土屋晴康)
 厚生労働省は毎年、全国約5000カ所の定点医療機関から、インフルエンザ患者数の報告を受ける。8月31日以降のまとめによると、今年は11月22日までで217人。昨年の同時期は約7万人。
 平均して医療機関1カ所で毎週1人の患者が受診するようになると、インフルエンザの流行に入ったとみなされる。今年はまだ週0・01人で、流行入りにはほど遠い。
 海外でも似たような状況にある。世界保健機関(WHO)によると、冬を越したオーストラリアや南アフリカなど南半球では今年、インフルエンザがほとんど流行しなかった。
 WHOは「手洗いなどの衛生対策や旅行規制などの移動制限により、流行しなかった可能性がある」と理由を分析した。だが、衛生対策などが功を奏したのなら、新型コロナの感染拡大を止められなかったことの説明がつかない。
 北里大の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は、「ウイルス干渉」の可能性を指摘する。あるウイルスが体内の細胞に感染すると、ほかのウイルスには感染しにくくなる状態を指す。
 「例年、風邪に似た症状が出るRSウイルスは、インフルエンザの流行とともに収束する。これもウイルス干渉によるものとみられる。新型コロナの感染が広がり、インフルが感染できない状況があるのではないか」と中山氏は説明する。世界中でウイルス干渉が起きている可能性があるという。
 一方、富山県衛生研究所の大石和徳所長(感染症学)は「市中でのウイルス干渉の可能性は否定できないが、その明確な仕組みは分からない」と話す。マスクや手洗いの徹底が、インフルエンザの流行を抑えているとみる。
 インフルエンザが遅れて流行する可能性も否定できないとして、大石氏は「インフルエンザによる重症化を防ぐために、ワクチンの予防接種を受けるなど、これまで同様に感染対策は続けておくべきだ」と強調している。

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