安倍前首相の金庫番なぜ立件へ? 東京地検、長年の不記載「悪質性を重視」 収支漏れ4000万円か

2020年12月4日 07時48分
 安倍晋三前首相の政治団体が「桜を見る会」前日に主催した夕食会を巡り、東京地検特捜部が、安倍氏の公設第1秘書を立件する見通しとなった。容疑は政治資金収支報告書への約4000万円の不記載。政治活動費の記載漏れは必ずしも刑事事件に発展するわけではないが、特捜部は長年にわたる不記載を悪質とみているもようだ。安倍氏の事情聴取にも踏み切り、補塡(ほてん)の背景を探る。(池田悌一)
 「収支報告書に記載すべきだった」。政治団体「安倍晋三後援会」の代表を務める公設第一秘書は、任意の事情聴取に違法性の認識があったことを認めたとされる。安倍氏が国会で繰り返してきた「後援会としての収入、支出は一切ない」との答弁を覆した格好だ。
 政治資金規正法は、政治団体に収支の記載を義務づけており、違反すれば5年以下の禁錮または100万円以下の罰金が科される。
 ただ、不記載がすべて立件されるわけではない。昨年の参院選広島選挙区を巡る買収事件では、河井克行元法相夫妻から受け取ったとされる現金を多くの地元議員らが記載していないが、誰も起訴されていない。
 夕食会を巡る不記載は、2013年から19年まで続いたとされる。時効が5年のため、立件対象は15年以降の5年分に限られるが、ある検察幹部は「長年にわたり繰り返されてきたという事実は、悪質性を考える上で重視すべきだろう」と指摘する。

◆把握どこまで

 安倍氏や公設第1秘書を刑事告発した弁護士有志らは、安倍氏側による会場側への補塡は参加した地元山口県の支援者らへの寄付行為で、公選法にも抵触するとしている。
 だが、参加者に「寄付を受けた」という認識がなければ、罪に問うのは難しい。参加者らは取材に「サンドイッチを食べ、ビールを飲んだだけ」「値段相応と感じた」と話しており、補塡を知らないまま会費を払っていた可能性が残る。
 そのため特捜部は、政治資金規正法違反に絞って捜査を進めるとみられ、今後は安倍氏が特捜部の任意の事情聴取に、どう説明するかが焦点となる。
 政治資金規正法は不記載の主体を会計責任者と規定。だが、安倍氏が不記載とすることを承認していたとすれば、「身分なき共犯」に問われる可能性も否定できない。公設第1秘書は、安倍氏の「金庫番」(地元関係者)。特捜部は安倍氏がどこまで把握していたか、慎重に見極める方針だ。

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