在日コリアン施設への脅迫はがき 「身を切られる思い」で立ち上がった町内会の心意気

2020年12月4日 11時34分

記者会見したふれあい館館長の崔江以子さん(中)、桜本一丁目町内会の山口良春会長(右)ら=川崎市役所で

 「迷惑施設と思われてしまうのではないか、と少し不安でした」。横浜地裁川崎支部で開かれた威力業務妨害事件の判決公判を受け、脅迫はがきが届いた多文化交流施設「川崎市ふれあい館」館長の崔江以子(チェカンイジャ)さん(47)は、記者会見でそう打ち明けた。その不安を一蹴するように、地域住民が施設周辺の巡回に協力してくれたという。
 崔さんは会見で「差別のない、人権尊重の地域社会の創造に寄与する」という施設の設置目的に言及。「(犯行は)在日コリアンの存在を否定するヘイトスピーチで、設置目的をも無効化する悪質なヘイトクライムです」と指摘した。
 元市職員の男(70)に対する懲役一年の実刑判決に関して、同席した師岡康子弁護士は「威力業務妨害罪や初犯であることを考えると、かなり重い判断。ただ、具体的に『これは差別なんだ』と判決で踏み込んでほしかった」と語った。
 ふれあい館には今年一月、在日コリアンの抹殺を予告する年賀状が届き、その後は爆破予告もあった。「地域への影響も大きく、分断が生じてしまうのではないか」と心配した崔さん。けれども、地元町内会は「わがまちの宝のふれあい館を守るんだ」と毎日巡回してくれたという。
 崔さんと並んで会見した桜本一丁目町内会の山口良春会長(81)は「(脅迫はがきは)身を切られる思いだった」と振り返った。
 元市職員の実刑判決を受け、福田紀彦市長は「断じて許される行為ではなく、強い憤りを感じる。職員により高い人権意識の醸成を図る」とのコメントを発表した。 (石川修巳)

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