格差の果てを描く 韓国映画「パラサイト 半地下の家族」

2020年1月9日 02時00分
 韓国映画の若き巨匠、ポン・ジュノ監督(50)の新作で、昨年カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールに輝いた「パラサイト 半地下の家族」が十日、全国公開される。貧しい四人家族と裕福な一家との間に起こる物語。貧困格差をモチーフに人間の喜怒哀楽を描いた作品は、二月の米アカデミー賞への期待も高まっている。主演の名優ソン・ガンホ(52)=写真=は「ポン監督の到達点といえる作品だ」と話す。 (竹島勇)
 貧家の父親役を演じたソンは「格差問題というより、格差のある実際の社会の中で人々が共にどう生きるかを描いた作品だ。パラサイト(寄生虫)という言葉はとても象徴的だ」と指摘する。韓国で一千万人、フランスでも百五十万人超の動員を記録するなど各国で大ヒットしていることに「多くの人が監督の新作を期待している。本作は誰もが共感できる物語を最もユニークで、見る快感を加えて描いたポン監督への人々の賛辞だと思う」と語る。
 「シュリ」(一九九九年、カン・ジェギュ監督)、「タクシー運転手~約束は海を越えて~」(二〇一七年、チャン・フン監督)などで知られる韓国を代表する俳優の一人。「殺人の追憶」(〇三年)などポン監督とは四度目のタッグと、互いの信頼は厚い。

父親役を演じるソン

 驚かされる後半の展開について、「クライマックスシーンの撮影に入る数日前の夜、ポン監督から『お兄さん(=ソン)にお話があります』と電話があり、展開や父親役の行動を説明した上で『あまりにも過激ではないでしょうか』と問われた」と相談を受けたことを明かした。「私は即座に答えました。『いや監督、現実はもっと残酷ですよ』ってね。ポン監督はそれを聞いて自信を持ったようでした」
 そんなやりとりを重ねて完成した作品に「この映画は一人や二人が引っ張る作品ではない。出演者らのアンサンブル、チームワークの要素が大きい。ただ私は俳優では最年長ですから、責任感は感じていました」と話した。
 本作は米アカデミー賞の国際長編映画賞の韓国代表でもあり、期待も大きい。「考えるだけでも気分がいい。朗報をひたすら待つだけです」と言って大きく笑った。

昨年5月、カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得してポン・ジュノ監督(右)と喜びをともにした=フランス・カンヌで

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