<法律お助け隊 加藤健次弁護士>弟名義の自宅から退去求められた

2020年12月5日 07時22分
<お悩み> 一緒に暮らしていた母が亡くなりました。相続人は私と弟の2人です。住んでいる家と土地は母が購入しましたが、長男ということで弟名義にしました。弟もこの事情を知りながら、私に「売却するから出ていって」と言ってきました。どうすればいいでしょうか。(東京・女性65歳)

◆不動産は遺産と主張を

<お答え> 不動産について、登記上の所有者と本当の所有者が異なることは時々あります。お母さまが不動産を購入し、形だけ弟さん名義にしたならば、家と土地はお母さまの遺産です。本来は、あなたと弟さんとで遺産分割協議をすることになります。
 今回、弟さんが登記を盾に遺産と認めず、所有者は自分と主張しているのですね。ならば分割協議の前に、不動産が遺産であるとの確認を求める訴訟を地方裁判所に起こしてください。
 ただ本当の所有者がお母さまであることは、あなたが証明しないといけません。不動産の購入時の弟さんの年齢や収入、さらに固定資産税や建物の修繕費を誰が負担していたかなどの事実を根拠に、不動産は遺産と主張することになります。この際、不動産の購入経緯がわかる資料があれば、なおいいです。
 ところで、登記上の所有者が本当の所有者でなくても、登記を信じて購入した第三者(善意の第三者)には、本当の所有者でないと主張できません(最高裁一九六七年一月十九日判決など)。なので、弟さんが勝手に不動産を売却してしまうと、買い主に対し、お母さまの遺産であると主張できない恐れがあります。
 そうならないように、弟さんに不動産の処分を禁じる仮処分決定を裁判所に求めることもできます。また第三者が不動産を購入する場合、居住者に確認するのが通例です。問い合わせがあった時、不動産は弟さんのものではないと説明してください。
 弟さんに「出ていって」と言われ、建物を明け渡してはいけません。早めに弁護士に相談して対策を打つことを勧めます。

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