臨時国会閉会 「ウソ」「カネ」は不問か

2020年12月5日 07時30分
 臨時国会がきょう閉会する。九月の菅内閣発足後、初の本格的な与野党論戦の場だったが、国会が国政調査権や行政監視機能を全うしたとは言い難い。国権の最高機関としての自覚があるのか。
 十月二十六日に召集された臨時国会は五日の会期末を待たずに、きのう事実上閉会した。会期の後半、真相を究明すべき問題が相次いで発覚し、野党側が会期の延長を求めていたにもかかわらず、与党側が強引に閉じてしまった形だ。
 一つは「桜を見る会」前日、安倍晋三前首相の後援会が主催した夕食会を巡り、安倍氏側が費用の不足分として二〇一九年までの五年間に約九百万円を補填(ほてん)し、その旨を政治資金収支報告書に記載していなかったこと。
 もう一つは、自民党の吉川貴盛衆院議員が安倍前内閣の農相として在任中、鶏卵生産大手企業側から現金五百万円を受領した疑いがあること、である。
 いずれも国会議員の「政治とカネ」に関する重大な問題であり、捜査とは別に、国会で当事者が説明責任を果たすべき問題である。
 特に安倍氏は首相在任当時、国会で「安倍事務所が補填した事実は全くない」「後援会としての収入、支出は一切ない」と繰り返し述べており、これらは虚偽答弁だった可能性が高まっている。
 森友学園への国有地売却を巡る問題でも、安倍前政権下の一七〜一八年に国会で行われた政府答弁のうち、事実と異なる答弁が計百三十九回にも上った。
 政府側が正しく、誠実に答弁することは正しい法案審議や、三権分立が機能するための大前提だ。虚偽答弁が繰り返される状況は当然、放置するわけにはいかない。
 しかし、与党側は国会での真相究明に後ろ向きで、説明責任を果たすよう本人たちに促すわけでもない。自民党総裁でもある菅義偉首相は「国会の運営は国会でお決めいただくこと」と語るだけだ。
 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で開かれた臨時国会は、感染抑止と経済活性化の両立をどう図るべきか、与野党が議論を通じて、よりよい政策に練り上げる好機でもあったはずだ。
 しかし、首相を頂点とする政権中枢への権力、権限集中に伴い、国会審議の形骸化が著しい。臨時国会でもその悪弊が続いた。
 国会が国権の最高機関としての役割を十分に果たせない異常な状況がこれ以上、続いていいのか。与野党を問わずすべての国会議員に、問題意識の有無を問いたい。

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