英ワクチン承認 安全性の確認を慎重に

2020年12月7日 07時42分
 英国が、新型コロナウイルスのワクチンを緊急承認した。日米欧では初めてで、今週にも英国内で接種が始まる。日本にも供給される予定で、期待は高まるが、安全性の確認には慎重を期したい。
 ワクチンは米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが共同開発した。一人二回の接種が必要で、臨床試験により感染リスクが95%下がる有効性が確認されたという。英政府は二千万人分を確保、高齢者介護施設の入所者や職員らを優先し接種する。
 英国では新型コロナによる累計死者は欧州でも最多の六万人以上に上り経済も悪化。ジョンソン政権はワクチン開発を急いでいた。
 特筆すべきはワクチン開発のスピードだ。通例五〜十年かかるとされるが、今回は人工的に作った遺伝物質を投与し抗体を作る、新たな技術で開発を早めた。
 米国でも年内に接種が始められる見通しだという。
 日本政府は、六千万人分の供給を受けることでファイザー社と合意している。今月二日には新型コロナのワクチンの費用を国が全額負担する改正予防接種法が成立した。早ければ年度内にも承認、接種が始まる可能性がある。
 ファイザー社は日本で百六十人を対象に初期段階の治験を実施している。数万人を対象に最終段階の治験を行うが、欧米に比べ感染者が少なく、十分なデータが集まらない場合、海外の治験結果と合わせ承認申請する方針という。
 厚生労働省は本格的な接種を始める前に、医療従事者ら約一万人を対象として接種後、健康状態を報告してもらう安全調査を実施する予定だが、副作用への不安はぬぐえない。来年に延期された東京五輪開催をにらみ、ワクチン承認に前のめりになりがちだが、英米などの先行例を十分分析し、有効性や安全性を慎重に見極めたい。
 今回のワクチンはマイナス七〇度で保管する必要がある。国は超低温冷凍庫やドライアイスを確保するとしているが、各自治体での集団接種の方法など、態勢づくりも急務となっている。
 ワクチン承認は朗報だが、楽観は禁物だ。感染拡大が収まらない中、手洗い、消毒の励行やマスク着用など、これまで通りの地道な対策は今後も欠かせない。
 自国だけワクチンが普及してもウイルスはなくならない。発展途上国を含め世界にワクチンが行き渡るよう、公平な配分への配慮も忘れてはなるまい。

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