高尿酸血症、ご用心 痛風のもと 巣ごもりでさらに増加

2020年12月8日 06時45分
 痛風のもとになる生活習慣病で、成人男性の5人に1人はかかっているとされる高尿酸血症。新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務や自粛生活で発症や悪化が懸念されている。また、高齢者などと同様、コロナ感染時に死亡のリスクを高める要因との報告もある。尿酸値が高めの人は生活習慣の改善に取り組むこと、患者はこれに加えて治療を続けることが大切だ。 (小中寿美)
 高尿酸血症は、新陳代謝で発生する尿酸が血液中で増えすぎた状態だ。診断の基準は血液一デシリットル中七ミリグラム以上。尿酸が結晶化して足指などの関節にたまると、激痛が発作的に起こる痛風を発症する。国民生活基礎調査を基にした日本痛風・尿酸核酸学会のデータによると、昨年の痛風患者は、三年前から十五万人増えて百二十五万人=グラフ。高尿酸血症の患者はこの十倍と推定される。
 痛風外来を設ける両国東口クリニック(東京都墨田区)によると、コロナ禍の今年、夏以降に痛風と高尿酸血症で来院した患者は月二千人前後。前年と比べ毎月百人ほど多い。理事長の大山博司さん(63)は「在宅勤務、外出自粛などによる運動不足や飲みすぎが尿酸値の上昇を招いている」と原因を分析する。
 日本生活習慣病予防協会は九月、痛風・高尿酸血症の治療に携わる医師三百三十八人に緊急アンケートを実施。それによると新規患者が「増えている」と答えた医師は百十三人と三割、コロナ禍の生活で、今後、患者が「増える」と予想した医師は九割を超えた。
 尿酸値が高いだけでは自覚症状がなく、痛風も発作は十日ほどで治まることが多いため、自己判断で治療をやめる人は少なくない。今年は感染を恐れ、受診を控える例も増加。薬で値を下げている場合は、中止後数日で元の値に戻る。値が変動を繰り返すと合併症のリスクも高まるため「薬の服用を続け、オンライン診療も活用を」と訴える。
 尿酸値が同七ミリグラムを超えたら、生活習慣の見直しが重要だ。学会理事長で帝京大薬学部教授の金子希代子さん(65)によるとポイントは五つ。尿酸は、体内の細胞や飲食物に含まれる物質、プリン体からつくられ、腎臓と腸管から排出される。アルコールは尿酸の排出を悪くして体内に蓄積させるため、プリン体の多いビールだけでなく、「プリン体ゼロ」の表示があっても適量を心がけよう。
 食事も適量にとどめ、プリン体の多いレバー類や白子、エビ、イワシ、カツオなどは取りすぎない。牛乳やヨーグルトなどの乳製品はプリン体が少なく、カゼインというタンパク質が尿酸の排出を増やすため、お勧め。水分も十分に取る。
 体を動かすことは大事だが、激しい運動は尿酸値を上げる。大山さんは一日三十分のウオーキングや、いすの背もたれに手を置いて行うスクワットなど負荷の少ない筋トレを勧める。

◆コロナ感染時のリスク 懸念

 高尿酸血症は新型コロナ感染時の重症化や死亡のリスクを高める−。夏以降、こうした研究結果の報告が続いた。国立感染症研究所は8月、516人が対象の疫学調査の中間報告で、慢性肺疾患や糖尿病と並び、重症化の要因の一つである可能性を示した。調査対象はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」や海外での感染が約半数を占める。
 また、慶応大と関連病院の研究グループは9月、市中感染した345人を対象に、重症化や死亡と、基礎疾患との関係を分析した結果を発表。高齢と慢性腎臓病に加え、高尿酸血症が死亡のリスク要因に含まれると指摘した。
 学会は過度に心配せず、服薬や生活習慣の改善を続けるよう呼びかけている。

関連キーワード

PR情報

健康の新着

記事一覧