米中関係、パンダが緩和? 米国の動物園、3年の滞在延長が決定…中国に年間約5200万円

2020年12月8日 17時58分
米ワシントンの国立動物園で、貸出の3年延長が決まったメイシャン(左)とティエンティエン=Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute提供

米ワシントンの国立動物園で、貸出の3年延長が決まったメイシャン(左)とティエンティエン=Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute提供

  • 米ワシントンの国立動物園で、貸出の3年延長が決まったメイシャン(左)とティエンティエン=Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute提供
  • メイシャンとティエンティエンの間に生まれたシャオチージー=米ワシントンで、スミソニアン国立動物園提供、AP
 このまま首都ワシントンから3頭のジャイアント・パンダはいなくなってしまうのか―。米中両国の対立が激化する中、懸案だったスミソニアン国立動物園の3頭のパンダの行方は貸出期限の7日、3年間の滞在延長で決着し、市民らをほっとさせた。(ワシントン・岩田仲弘)

◆飼育現場は友好的

 「ジャイアント・パンダに関する協定を2023年末まで延長」。動物園のウェブサイトを開くと、メスのメイシャン(美香)と、オスのティエンティエン(添添)の大きな写真が目に飛び込んできた。新型コロナウイルスの感染拡大で先月23日から再び閉園を迫られた動物園が、市民に朗報を伝えたい気持ちが伝わってくる。
 米中関係は今年、悪化の一途をたどってきた。トランプ大統領は、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び、感染の発生と拡大を巡り、中国を強く非難し続けている。
 トランプ政権は香港情勢を巡っても中国に圧力をかけ続け、7日には、香港立法会(議会)の民主派議員4人の議員資格をはく奪する引き金となった新たな基準を決めた中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会メンバー14人に制裁を科した。
 ただ、動物園のスティーブ・モンフォート園長は延長に自信があったようだ。米紙ワシントン・ポスト(電子版)の取材に「米中両国は政治的には大変困難な関係にあるが、(中国野生動物保護協会など)中国の同僚と私たちの関係は大変プロフェッショナルで、生産的、友好的だ」と強調。「私の知る限り、パンダを政治利用しようとする雰囲気はなかった」と述べた。

◆「私たちにも48年の歴史」

 モンフォート園長はさらに「パンダと私たちには48年間の歴史がある」とも指摘した。
 パンダの歴史は米中国交正常化の歴史と重なる。動物園によると、1972年2月、当時のニクソン大統領が電撃訪中した際、夕食会の席上、パトリシア大統領夫人が周恩来しゅうおんらい首相に「私はパンダが大好きです」と述べ、周首相が「何頭か差し上げます」と言ったのが始まりだった。
 同年4月、メスのリンリンとオスのシンシンの2頭が贈られ、ニクソン大統領夫妻が国立動物園で歓迎。以来、首都の人気者になった。2頭は20年間で計5頭の子どもをもうけたが、いずれも数日間で死亡。リンリンは92年、シンシンは99年にそれぞれ死亡した。
 約1年間の空白期間を経て2000年12月にやってきたのがメイシャンとティエンティエンだ。ワシントン・ポスト紙によると、退任間際のクリントン大統領と娘のチェルシーさんも早速見に訪れたという。

◆「延長、今回が最後」の声も

 メイシャンとティエンティエンは贈りものではなく、10年間の期限付きで、貸出料は年間100万ドル(約1億400万円)だった。2頭はその後、米中間の話し合いにより、年間50万ドル(約5200万円)で5年間の滞在延長が決まった。
 正式決定したのは2011年1月。当時の胡錦濤こきんとう国家主席が公式訪米し、オバマ大統領と首脳会談を行った時期に合わせて発表したのは明らかだった。
 2頭は15年12月、さらに今年12月までの延長が決まった。ポスト紙によると、モンフォート園長は、メイシャン、ティエンティエンの滞在延長は今回が最後と覚悟している。
 8月に2頭の間に生まれたオスのシャオチージー(小奇跡)も中国との繁殖協定により、2頭と一緒に3年後に中国に返還される。
 同園長は、米中が緊張関係にあっても延長できたことを踏まえた上で「今後数十年にわたっても、パンダを飼育し続けたい。私たちと中国との同僚たちは、それができるぐらいのよい、強い関係を維持している」と強調。将来にわたって、パンダを誘致し続けることに自信を示した。

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