コロナワクチン、日本はいつ始まる? 課題は「マイナス70度管理」…イギリスで接種開始

2020年12月9日 06時35分

5日、ロンドン南部の病院で米製薬大手ファイザーのワクチンを受け取る職員=ゲッティ・共同

 英国で8日に接種が始まった新型コロナウイルスのワクチンは、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発した。日本でもこのワクチンの接種を行う予定だが、課題は零下70度前後の「超低温」管理だ。海外の製造拠点から国内へ輸送するコールドチェーン(低温物流)を確立しなければならない。(藤川大樹)

◆壊れやすいワクチン

 このワクチンは、m(メッセンジャー)RNAワクチンという新しいタイプ。RNAは壊れやすく、常温では短期で効果がなくなる。2~8度の環境なら5日間だが、零下60~90度でなら約半年間、有効性が保たれるという。
 製造拠点は、米国、ベルギー、ドイツにある。ファイザーはワクチンを輸送するため、ドライアイスを使う超低温の「保冷箱」を開発した。衛星利用測位システム(GPS)に対応した温度センサー付きで、箱の位置と温度を遠方から確認できる。
 日本へは空路で運ぶことになりそうだ。日本航空によると、温度管理が必要な貨物用の「保冷コンテナ」もあり、超低温で輸送をした実績もあるという。担当者は「(輸送の)話は決まっていないが、検討は進めていきたい」と話す。

◆国内に冷凍庫3000台確保

PHCホールディングスが開発した零下85度まで下げられる超低温冷凍庫=東京港区で

 国内到着後は、超低温冷凍庫でワクチンを保管することになる。調達先など詳細は明かしていないが、加藤勝信官房長官は「マイナス70度程度で保管可能な冷凍庫3000台を確保している」と説明している。
 メーカーは国内にもある。超低温冷凍庫のシェアが世界2位の健康・医療機器メーカー「PHCホールディングス」(東京都)の製品は零下152度まで冷やせるものもある。内容量528リットルの超低温冷凍庫には、5ミリリットルのワクチン容器約2万2000本を入れられる。
 今春以降、海外の製薬会社や物流会社から注文が増え、8月に群馬県の工場を2交代制にして生産体制を増強した。超低温冷凍庫の販売台数は11月末時点で昨年度の1・5倍に増え、年間では2倍の見込み。厚生労働省から問い合わせもきているという。

◆接種体制は? 冷凍庫の設置場所は?

 政府は来年6月末までにファイザーから6000万人分の供給を受ける基本合意を結んでいる。ファイザーは日本での薬事承認申請に向け、国内で160人を対象にした臨床試験を進めている。
 田村憲久厚労相は8日の記者会見で「なるべく早く接種体制を整えたい」と発言した。厚労省幹部は「本年度中にも(高齢者や基礎疾患のある人などに)接種していきたい」と話す。
 ただし、どのように接種をしていくか、まだ決まっていない。確保した超低温冷凍庫は3000台で、単純計算では人口約4万人当たり1台となり、どこに設置するかも未定だ。そのほか、接種する医療機関を指定するのか、「保冷箱」で接種会場に運ぶのかなども決める必要がある。

m(メッセンジャー)RNAワクチン 人工的に作ったmRNAと呼ばれる遺伝物質を使ったワクチン。新型コロナ用の場合、mRNAを体内に投与することで、細胞内で新型コロナの特徴である突起状のタンパク質を生成させる。人の免疫細胞がこのタンパク質を敵と判断し、抗体が作られれば免疫を獲得できる。

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