コロナ感染防止に6兆円 経済再生を重視…コロナ後見据えた基金「本当に必要?」 政府の追加経済対策

2020年12月9日 06時00分
 追加経済対策の3本柱のうち肝心のコロナ対策は財政支出で5兆9000億円となり、コロナ後(ポストコロナ)の経済構造の転換(18兆4000億円)、国土強靱きょうじん化(5兆6000億円)の残る2本柱の4分の1にとどまった。感染対策より経済再生を重視し、自民党の思惑を色濃く反映した配分だ。(森本智之)

◆大学研究を支援、運用益を配分へ

 ポストコロナでは、大学の研究を支援するための基金創設に4兆円余りを財政投融資から投じる。段階的に拡充し、最終的に10兆円規模を目指す方針で、運用益を各大学に配分する。だが政府内にも「コロナ対策とは直接関係がなく、本当にいま必要なのか」(経済官庁幹部)との指摘がある上、低金利が続いている中で思惑通りに運用益が上げられるか懸念も根強い。

◆制度固まる前に要求 自民の強いプッシュ

 「自民党の強い後押しで通った政策」(党関係者)で、制度が固まらないまま予算要求した点も異例だ。慶応大の中室牧子教授(教育経済学)は大学の研究資金拡充という趣旨には賛同しつつも、大学予算に対する政府の存在感が強まり「日本学術会議の問題のように学問の独立性が脅かされないか」と不安視する。
 民間投資を含めた事業費ベースで5カ年で15兆円を計上する国土強靱化計画も、金額の縮減を求める財政当局を自民党が押し切った。本年度で終了する現行の国土強靱化計画は3年で7兆円の事業規模だが、新計画では年平均の規模を拡大し、期間も延長する。
 規模感を優先させたとの見方は強く、財務省幹部は「5年間というのがポイント。先々にわたって建設業界を支援する意図がある」と指摘する。

◆ハード面整備に反発も

 ハード面の整備に前のめりな政府の姿勢を象徴するようなデータがある。国土交通省の推計によると、国や自治体が想定する洪水浸水想定区域内の人口(15年)を20年前と比較すると、28道府県では全体の人口が減少しているにもかかわらず、想定区域に住む人が増えている。だが、国交省は理由の分析もしておらず「ソフト面の対策を軽視している」(財務省幹部)と反発の声が上がる。

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