楽曲と織りなす「人間賛歌」 「ロケットマン」エルトン・ジョンの半生描く

2019年8月29日 02時00分

映画「ロケットマン」日本公開イベントであいさつするデクスター・フレッチャー監督=東京・有楽町で

 英の人気歌手エルトン・ジョン(72)の半生、大スターの光と影をヒットナンバーとともにつづるミュージカル映画「ロケットマン」が公開されている。昨年大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」も手掛けたデクスター・フレッチャー監督(53)は「ジョンがさらけ出した生き方と名曲が相乗効果をあげた人間賛歌だ」と胸を張る。 (竹島勇)
 ジョンは一九六九年にデビュー。グラミー賞を五回受賞、アカデミー賞などにも輝いた。七〇年の初ツアーから八十カ国以上で四千回超のライブを行ってきた世界的スター。デビュー時から九〇年ごろまでを描いた本作では製作総指揮を務めた。活躍の一方で内面の孤独や渇愛、薬物依存などに苦しむ姿も映し出した。ジョン役をタロン・エガートン(29)が演じ、歌唱も披露している。
 英ロックバンド「クイーン」の軌跡を描いた「ボヘミアン-」では、コンサートの再現に力を入れていたが、本作では名曲「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」などの楽曲を発表年にこだわらず、場面に合わせて使っている。

「ロケットマン」から、フレッチャー監督お気に入りのシーン。デビュー直後のエルトン・ジョン(タロン・エガートン)のライブ

 フレッチャー監督は、ジョンの明暗を象徴する二シーンで会心の演出ができたと明かした。
 一つはデビュー直後の米ロサンゼルスの登竜門的ライブハウスで、ノリノリの楽曲「クロコダイル・ロック」で熱狂的なパフォーマンスを決め、スターへの道が開けたシーン。「ピアノを演奏しながら足が空中に上がるジョンに合わせて、観客の足も上がるという魔法のようなシーンがハマったよ」。もう一つは表題作となった「ロケット・マン」を使ったシーン。孤独をテーマにした楽曲に合わせ、人気者になったものの失意にさいなまれ、薬物を大量に摂取。その上、屋外のパーティー中に正装のままプールに身を投げる。水中には幼少時の自分の幻がピアノを弾いている-という場面だ。
 製作総指揮のジョンの存在について「ここまでつらい内面を明かすのかと驚いた。『この点に触れてくれるな』と言われたことはないから、信頼関係が持てたよ」と称賛、タブーなき撮影の日々を振り返る。
 しかし、映画で表現したのは三十年ほど前まで。「その後の同性婚などのプライバシーや老いに彼は触れられたくなかったのだろうか?」と向けると、フレッチャー監督は「そうは受け止めなかった。描いた若き日はドラマチックだし、描きたいものを感動的に描けたよ」と語った。

タロン・エガートン=東京・有楽町で

◆「苦しみ感じていた」

<タロン・エガートンの話> エルトン・ジョンは(音楽で)成功したが、私たちと同じ悩みや苦しみを感じていた。とても人間らしい作品を楽しんで。

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