コロナ禍の今年も「ニチゲイ」映画祭 学生ら準備に苦心 テーマは「中国を知る」

2020年12月9日 12時00分
 「ニチゲイ」で知られる日本大芸術学部の映画学科の学生による、全国でも珍しい学生が中心の本格的な映画祭が12~18日、東京都渋谷区の映画館「ユーロスペース」で開かれる。今年のテーマは「中国を知る」。しばしば「近くて遠い」と形容される隣の大国を日本や各国はどう描いているか。映画を通じて歴史や現状を広く知ってもらうのが狙いだ。(小松田健一)

映画祭の打ち合わせをする映画学科の古賀太教授(奥中央)と学生ら=3日、東京都練馬区の日本大で

 中国をテーマとしたのは、中国に端を発した新型コロナウイルス流行に加え、香港の民主化運動、日中双方が領有権を主張する沖縄・尖閣諸島をめぐる問題など、中国に関するさまざまなニュースへの関心が高いことが理由だ。
 発案者で、映画祭の統括者を務める宮脇千聖さん(20)は「中国のニュースを見ない日はなく、同世代の若者がデモに参加している姿を見て香港にも関心がわいた。中国についてさまざまなことを知るきっかけにしたい」と意気込む。
 例年、4月から5月にかけてテーマを決めて動きだすが、今年は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。緊急事態宣言の発令と重なり、打ち合わせは6月まですべてオンライン。宮脇さんは「コミュニケーションを取るのが難しかった」と振り返る。開催期間中は会場に詰める学生スタッフを例年の半分に減らすなどして、感染リスクを分散する。
 今回で10回目を迎える映画祭は、古賀太教授(映画史)のゼミに所属する3年生の学生14人が、テーマを選んだ。映画配給会社との交渉、会場運営までをすべて行い、実践で映画ビジネスを学ぶ意味もある。
 2011年に初めて開き、天皇退位が注目された17年に「映画と天皇」、東京五輪を間近に控えていた昨年は「スポーツの光と影」など、社会情勢に応じて企画してきた。

現役日芸生による映画祭のパンフレットの表紙

 上映作品は戦前から現代に至るまで国内外の計15本。中でも注目作は「ジョン・ラーベ~南京のシンドラー~」。日中戦争中の1937年、日本軍が南京占領時に多数の民間人や非戦闘員を殺害した南京事件を題材にしている。
 日本からも香川照之さんら著名俳優が出演したが、配給会社が公開しなかったため、有志による各地の公共施設などでの自主上映となった。
 残虐行為の描写が生々しく、南京事件を否定する右翼団体や保守層の強い反発も背景にあったとされる。学生が上映権を持つドイツの配給会社と交渉を重ね、今回に限り認められた。都内映画館での上映は恐らく初めてという。
 古賀教授は「開催できなかった場合でも準備が勉強になると思っていたが、ここまでこぎ着けることができた。再び感染が拡大しているのは心配だが、予防に万全を期したい」と強調している。

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