「カメ止め」のスタッフ「3人監督」で新作 あす公開「イソップの思うツボ」

2019年8月15日 02時00分

新作に込めた思いを話す上田慎一郎監督

 昨年、低予算ながら大ヒットした「カメラを止めるな!」のスタッフ3人が監督と脚本を担当した異色の映画「イソップの思うツボ」が16日公開される。「カメ止め」の上田慎一郎監督(35)は3人で長編製作が実現したことを喜ぶ一方、現場で意見が割れるなど苦労も多かったと明かした。 (竹島勇)
 製作費三百万円の「カメ止め」は上映二館で公開されるや支持が広がり、結局は興行収入三十一億円を突破。社会現象といわれた。「出演者やスタッフに臨時にお金の支給もできた。僕にも仕事のオファーが相次いでいる。本作も百館で上映スタートと聞いてすごいと思う」と上田監督は“カメ止め効果”を明かす。
 「イソップ-」は二〇一七年六月に始まった「カメ止め」の撮影前から企画が進行していた。埼玉県川口市で映像関連産業の振興を図る「SKIPシティ」のプロデュースで、一五年にオムニバス映画の監督を務めた上田、浅沼直也(34)、中泉裕矢(39)が共同監督で長編映画を作ることで意気投合した。三人は無名で実績も十分ではなかったため「三人合同ならSKIPシティの支援で作れるのではと思った」と上田監督。企画が採用されたのが一七年五月だった。
 「イソップ-」は内気な女子大生の亀田美羽(みわ)(石川瑠華)と人気タレント一家の娘の兔草(とぐさ)早織(井桁弘恵)、復讐(ふくしゅう)代行の仕事をする父を手伝う娘、戌井小柚(いぬいこゆず)(紅甘(ぐあま))の三人を軸に、家族の秘密や人間の俗悪さが露見していく愛憎劇。
 上田監督は「どんな話にするかで二年は話し合った。脚本を大幅に書き換え、家族の秘密をふくらました」という。「人間関係の最小単位が家族。結び付きやいざこざなど、物語の葛藤が強い」と説明する。
 監督三人を主要キャストそれぞれの家族のシーン担当に分け、各自が意見を出した。上田監督は「監督が一人なら決定は早いが、三人だから意見の食い違いもあった。撮影中の役者の前で議論が続くこともあった」と率直に話す。ラストも他の二人の意見を反映し「苦く受け止める人もいる」内容に仕上げた。
 「三人監督をまたやりたいかと言われたら、考えてしまう」と苦笑いしつつ「現場で演出の意図をきちんと言葉で説明するのは健全なことで、その点は鍛えられた。アイデアが現場で出ることはいいこと」と話す。大ヒット作の後だけに注目が集まるが「見る人も期待して見る。正直いって賛否が分かれる作品。分かれないとおかしいとも思う。不安とワクワク感を感じています」。

「イソップの思うツボ」の(左から)浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢の3監督=名古屋・栄で

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