語り継ぐ戦争 生きることの意味は 今の世の中、一緒に考えたい

2019年8月1日 02時00分
 戦後74年の夏。今年も「戦争」と向き合う朗読の舞台が上演される。戦争を体験した世代の高齢化が年々進み、風化も懸念される中で、「語り継がなければ」「忘れてはいけない」「戦争がいつ起きてもおかしくない現状を一緒に考えたい」などの強い思いを込めて、俳優たちが今年も舞台に立つ。 (山岸利行)

◆俳優座の朗読「戦争とは…2019」

「朗読 戦争とは…2019」について語る岩崎加根子(左)と平田朝音=東京・六本木の俳優座で

 劇団俳優座は8月10、11日、東京・六本木の俳優座稽古場で、朗読「戦争とは…2019」を上演する。毎年続けている公演で、今年で25回目。劇団創立75周年の今年は有志16人が8作品を朗読、戦争を考える。朗読されるのは、姫路空襲で妹のよし子を亡くした姉の視点で描いた「よしこがもえた」、戦争に巻き込まれた女学生たちの苦難を描く「女子学徒たちの沖縄戦」(仮題)など。
 ベテラン岩崎加根子(86)は12歳で終戦を迎えた。戦中は、東京・大森の実家近くの防空壕(ごう)に避難、米軍機からの焼夷(しょうい)弾が降り注ぐのを目の当たりにした。「防空壕には人がたくさんいて、酸欠で気持ち悪くなった。肺門リンパ腺の病気にもなった。当時、国がやっていることに口出しできないまま引きずられて戦争になった」と振り返る。
 先の大戦の記憶が薄れつつある現在、きな臭い雰囲気も漂うが、「何も考えずに戦争に突き進むのは嫌。これまでの朗読を聞いてくださったお客さまが『伝え続けなければならない』と言ってくださる。朗読を通して今の世の中の現状について一緒に考えていきたい」と話す。
 自ら出演し、演出も担当する平田朝音(ともね)(62)は「爆撃の映像を使ったり、芝居仕立てにするなどして舞台をつくっていきたい。ホルムズ海峡などの状況を見ると戦争がいつ起きてもおかしくない。平和と安全のためといいながら着々と軍備が進む。この時代とどう向き合いますか?」ということを投げかけたいという。自身は戦争を知らない世代だが、「こういうこと(朗読公演)をやらないと戦争について勉強できない。みんなと一緒に考える機会であり、ずっと続けていきたい」。
 問い合わせは俳優座=(電)03・3470・2888。

◆特攻隊員の恋描く「遠き夏の日」

記者会見に登場した川崎麻世(前列左から2人目)、日野美歌(同右端)ら出演者たち=東京都港区で

 朗読劇「遠き夏の日」は8、9月に東京、大阪で上演される。原作・脚本は、1970年代に流行した特撮ドラマ「ミラーマン」の主演などで知られ、今年6月に死去した俳優の石田信之。キャストやスタッフが「戦争の記憶、平和の意味を伝えていきたい」との石田の遺志を受け継ぐ。
 終戦間近、鹿児島にあった特攻隊の基地を舞台に特攻隊員と若き女性の純粋な恋を中心に描く。2012年から各地の舞台で上演されてきた。
 主人公の特攻隊員役の川崎麻世(56)は「私の母親は84歳。『戦争の時は食べるものがなかった。食べ物を残してはいけない』といったことを教えられ、良かったと思う。大変な思いをしてきた人間の苦労を忘れてはいけない。戦争はあってはならないということを作品を通して伝えられたら」と強く語る。
 朗読劇をライフワークにしたいという歌手の日野美歌(56)は「私たちは皆戦争を知らない世代で、どれだけ伝えるか」としながら「生命の重さ、平和の尊さ、生きることの意味を考えたい」。特攻隊員の母親役の宮地真緒(35)=東京公演のみ出演=は「台本を読んで、どういう気持ちで特攻していったか、どんな気持ちで待っていたかなどが胸にきた。伝えることが平和につながるのでは」と朗読劇の意義を語った。
 公演は、グランフロント大阪ナレッジシアター(8月9、10日)、東京・中目黒キンケロシアター(9月20~22日)。
 問い合わせはテンダープロのEメール(info@tenderpro.net)で。

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