夫婦別姓「#いつになったら選べますか」若い世代の望み届くか 事実婚夫婦の審判が最高裁大法廷へ

2020年12月11日 06時00分
 夫婦別姓を認めないのは違憲だとして事実婚の夫婦が起こした3件の審判が、最高裁大法廷に回付されることになり、同姓を定めた民法規定を「合憲」とした2015年の初判断に続き、改めて憲法判断を示す可能性が出てきた。希望すれば結婚前の姓を名乗ることを認める「選択的夫婦別姓」制度の早期実現を求める若い世代からは、期待の声が聞かれた。(奥野斐)

「同姓、別姓を選べる社会に」と若い世代の声を代弁する桜井彩乃さん=横浜市内で

◆若い世代には「姓を変えたくない」人も

 「5年前から時代も変わっている。制度導入の後押しになるような司法判断に期待したい」。30歳未満の若者によるプロジェクト「#男女共同参画ってなんですか」代表の桜井彩乃さん(25)が話す。
 夫婦同姓を義務付けるのは世界でも日本だけとされ、厚生労働省の統計では結婚時に改姓するのは96%が女性。「一人っ子が多い私たちの世代は、家族を大事にするからこそ、姓を変えたくないという声も少なくない」という。
 桜井さんらは、プロジェクトに集まった意見1050件を踏まえた「ユース(U30)提言」を9月、橋本聖子男女共同参画担当相に手渡した。提言は、今月にも閣議決定される第五次男女共同参画基本計画策定の専門調査会の配布資料に使われたり、衆院本会議などで引用されたりした。「政治に声が届くんだ、と期待感が高まった」

◆期待から危機感に「#いつになったら選べますか」

 しかし11月以降、自民党内で夫婦別姓を認める制度導入に反対の意見が相次ぎ、期待感は危機感に変わった。同月下旬には、「#いつになったら選べますか」のタイトルで制度導入を求めるネット署名を始め、3万筆超を再び橋本氏に提出した。
 署名とともに、少子化や未婚化にもつながる切実な声が集まった。「将来結婚はしたいけど(現状では)踏み切れない」「選択の余地すら与えられない日本、おかしい」「上の世代が絆とか家族の形とか理想を押し付けて拒否しているの、『未来はない国』になるよな」…。会員制交流サイト(SNS)でも別姓を求める投稿は相次ぐ。
 早稲田大の研究室と市民団体が10月に行ったネット調査では、20~50代の70・6%が選択的夫婦別姓に賛成で、反対は14・4%。20~30代では賛成が約8割を占めた。桜井さんは「別姓が実現できなければ、若い世代にもっと政治やこの国への失望が広がると思う。同姓も別姓も肯定され、選べる社会にしてほしい」と訴える。

 夫婦の姓 民法750条では、夫婦は結婚時に夫または妻の姓を称すると規定。最高裁大法廷は2015年12月、この規定について「男女間の形式的な不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」などと「合憲」と初判断したうえで、国会での議論を促した。裁判官15人のうち5人は「違憲」とした。選択的夫婦別姓は、1996年に法制審議会が制度を盛り込んだ民法改正案を法相に答申したが、法案提出は見送られた。

これまでの審判

 最高裁第二小法廷と第三小法廷が9日に大法廷(裁判長・大谷直人長官)に回付したのは、東京都内の事実婚の夫婦3組がそれぞれ起こした家事審判の特別抗告審。18年に1組が東京家裁に、2組が東京家裁立川支部に家事審判を申し立て、両家裁は19年3月、いずれも規定を合憲とし、婚姻届の不受理処分は妥当だとして申し立てを却下した。東京高裁が即時抗告を退け、夫婦3組が特別抗告していた。

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