家で歌舞伎を楽しもう「お薦めDVD」 「勧進帳」画面通じ気迫

2020年5月1日 02時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大で音楽や演劇の公演は軒並み取りやめ、五月の歌舞伎地方巡業も中止となった。外出自粛の中、自宅でDVDを鑑賞し、歌舞伎の世界に接してみては?
 有名な「勧進帳」は、二〇一八年一月に東京・歌舞伎座で上演の舞台が「歌舞伎 特選DVDコレクション」(アシェット・コレクションズ・ジャパン発売)創刊号に収められている。開始後すぐ幕が開き、松を描いた装置の緑、鮮やかな衣装の色が目に飛び込む。
 関所の関守が富樫左衛門と名乗って朗々と語る。源頼朝と義経の兄弟が争い、義経一行は山伏の姿で逃亡中のため、厳重警戒することになったというのだ。学校の古文の授業で習ったような言葉が一つ一つ迫ってくる。
 そこへ義経や家来の弁慶らが登場。笛や鼓などの音に乗ってテンポよく進行するのが心地いい。
 富樫は弁慶を尋問。本物の山伏なら東大寺再建の寄付を募る勧進帳を持っているはずだ、読み上げろと迫り、一行の一人が義経ではないかと詰め寄る。弁慶は義経を必死で守り、その姿に富樫が心打たれる。華麗な舞踊まで披露した弁慶の去り方は豪快で、最後まで引きつけられる。
 主役の弁慶はTVドラマやCMでもおなじみの松本幸四郎、義経は幸四郎の息子、まだ十代半ばの市川染五郎で、この時それぞれ名前を継いだ襲名披露の公演。意気込みも映像から伝わってくる気がする。迫真の富樫を演じているのは時代劇「鬼平犯科帳」で知られた中村吉右衛門だ。
 俳優の登場や良い場面で客席から声が掛かるのは独特。その声もクリアに拾っていて臨場感があり楽しい。音声ガイドと文書で解説が付く。
 同コレクションは、松竹制作の歌舞伎の人気舞台をDVDブックとするシリーズで、昨年八月から本格的な販売を始め、隔週で刊行。絵本を舞台化した「あらしのよるに」など新作歌舞伎もラインアップに含まれている。

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