「にらみ」でコロナ一掃を 中村雅之・明治大学大学院兼任講師

2020年4月17日 02時00分

初代市川團十郎=三代目歌川豊国「古今俳優似顔大全 市川家系譜」から(国立国会図書館所蔵)

 「十三代目團十郎襲名」の披露公演が新型コロナウイルスのために、残念ながら無期延期になったことは仕方ないが、この発表を聞いた時に、真っ先に思い浮かんだのは、あの「にらみ」が当分お預けになる、ということだった。
 「にらみ」とは、襲名披露の中でも、團十郎などの時だけに行われる特殊な見得(みえ)。口上の終わりに、裃(かみしも)の右肩を脱ぎ、左手に三方を持ち、目を剥(む)いて、悠然と客席を睨(にら)んでみせるというものだ。
 「にらみ」は、「成田屋」という屋号からも分かるように、歴代の團十郎が深く信仰した成田不動の厳しい表情を写したもの。江戸の人々は、團十郎を不動の化身として「にらみ」を受けると、邪気が払われ無病息災に過ごせると信じた。
 ぜひ「團十郎丈」に、東京だけでなく、世界中の人たちのために一肌脱いでもらいたいことがある。無観客の歌舞伎座の舞台上で、「にらみ」を見せ、それをYouTubeにアップしてほしい、ということだ。
 これで、きっとコロナウイルスという世界を覆う邪気も一掃されるだろう。

関連キーワード

PR情報

伝統芸能の新着

記事一覧