ベルリン中心部に能舞台や茶室が!?「欧州一のサムライ・コレクション」ドイツ人男性の私設美術館が移転へ

2020年12月14日 17時00分

ベルリンで自身のコレクションについて語る「サムライ・アート・ミュージアム」の創設者、ペーター・ヤンセンさん

 ドイツの首都ベルリンにある私設美術館「サムライ・アート・ミュージアム」の創設者、ペーター・ヤンセンさん(72)が新たな美術館の開設準備を進めている。所有するコレクションは甲冑かっちゅうや刀など総数約3000点に上る。市中心部に移転し展示スペースを拡大、来年6月の再オープンを目指している。 (ベルリン・近藤晶、写真も)

◆日本人の若者に歴史や文化を教わり、魅了された

移転準備が進むベルリンの「サムライ・アート・ミュージアム」。手前右は足軽の人形

 「今は移転準備と並行して、収蔵品のデータベース化を進めている」。ヤンセンさんに案内され、現在の美術館に入ると、コレクションの数に圧倒された。ガラスケースには、甲冑や刀などの武具がずらり。びょうぶや掛け軸といった装飾品のほか、茶道具や家具もあり、数人のスタッフが忙しく作業をしていた。
 収集のきっかけになったのは、働きながら世界中を旅していた日本人の若者との出会いだった。当時、17、18歳だったヤンセンさんはスイスで料理人として働き始め、皿洗いをしていた彼と意気投合。日本の歴史や文化を教わり、空手にハマった。今では黒帯の腕前だ。
 「空手、剣道、柔道などの武術は、武士道とつながっている。武士道精神には7つの徳があると知り、肉体と精神の一体性が大切だと考えるようになった。その哲学に魅了され、美術品にも関心を持ち始めた」
 1980年代初めから収集を始め、美術品の知識が深まるにつれ情報のネットワークも広がった。当初は欧州に出回った品を買い集めていたが、5年前に初訪日。新型コロナウイルス感染が広がる以前は年に2、3回、日本に買い付けに行っていたという。

◆40年で3000点収集…「もっと多くの人の目に」

「サムライ・アート・ミュージアム」所蔵の火縄銃

 40年近くにわたる収集品は、よろい70点、かぶと200点、刀150点など総数は約3000点にも上る。「恐らく欧州でこれほど大規模なサムライ・コレクションは他にない」と自負する。「支払った値段が本当の価値に見合うかが問題。最終的に良いバランスになっていることを願ってるよ」と笑った。
 3年前に開館した現在の美術館は、自身が建設・運営してきた高齢者住宅の地下にあり、ベルリン中心部から車で30分ほどかかる。もっと多くの人に見てもらいたいと考え、中心部への移転を決めた。
 新美術館は、展示面積が1800平方メートルと現在の5倍になり、能舞台や茶室も設置する予定。能舞台は今、新潟県十日町市で制作され、ベルリンに運ぶという壮大な計画だ。
 新型コロナの影響で開館時期が遅れる可能性もあるが、ヤンセンさんは意気込む。「新美術館ではデジタル技術を使った展示を取り入れ、来場者を楽しませたい。日本の文化や歴史に関するプレゼンテーションも計画している」

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