死刑判決の白石被告 公判で見せた母親への執着、損得勘定で他人を測る冷酷さも 座間9人殺害事件

2020年12月15日 15時35分
 神奈川県座間市のアパートで2017年に男女9人が殺害された事件で、強盗強制性交殺人罪などに問われた無職白石隆浩被告(30)の判決公判が15日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれ、死刑の判決が言い渡された。一連の公判では、被告が持つ母性への執着と、他人を損得勘定で測る冷酷な一面が浮かんだ。被告の姿を、母親、精神鑑定医、本人の言で振り返る。(沢田千秋、林朋実)

神奈川県座間市の9人殺害事件があったアパート=2017年

 「3086グラムの元気な赤ちゃん。心から喜んだ」。長男である白石被告について語った母親の調書を検察官が読み上げた。「素直でかわいい、虫が嫌いな気が小さい子だった」
 被告は、母親いわく「年に1度は旅行する、どこにでもある家族」と育った。中学3年ごろから「気の強い子ばかりで合わない」と学校を休みがちになり、散らかった部屋でゲームに没頭した。被告の高校卒業後に両親は離婚。母親は「夫から『隆浩は金の無心をしてくるから、連絡を取らないように』と言われた」と振り返る。
 最後に被告と電話したのは事件の半年前。「自分が産んだ子が9人殺害したと、信じることができない」

◆「人の操作に自信」

 刑事責任能力をみるため精神鑑定を行った医師は約62時間、白石被告と面接。「知能指数(IQ)は110で平均レベルの中で上の方。記憶力に優れているが知識は浅い」と分析した上で「発達障害を含む精神障害を示す所見はない」と結論付けた。
 自殺をほのめかす女性らを狙った白石被告。医師には「相手が求めるものを満たして好意を持たせ、人を操作することに自信がある」と語った。医師は「殺害は金銭欲と性欲のため、遺体解体は証拠隠滅のためで、何らかのこだわりや障害、猟奇的、性的目的はない。頭部を室内に保管したのも趣味や快楽ではない」と判断。「被害者、遺族に憐憫れんびんの情なし。被害者は被告にとって獲物でしかなかった」と証言した。

◆「最高の2カ月」

 白石被告は父親を毛嫌いする一方、母親には積極的に言及した。最後の被告人質問で心境を問われ、事件よりも「頭の中、母親のことでいっぱい」と発言。「7年ほど会っていない」とし、「知らないうちに父と別居していた。高校のころ、金を無心して迷惑をかけたので、嫌われたから何の連絡もなかったと思う。さみしい」と話した。
 また、子どもがいた被害者の遺族に「未来のある子どもに、しっかりと母性を伝えることができない状態に追い込んでしまい、本当に申し訳ない」と特別な感情を寄せた。ただ、謝罪は4人の被害者に対してのみで、残る5人は「会ってまもなく殺したので深い感情はない」「後悔はない」と、かたくなに謝罪を拒否。
 裁判官から「本心でなくても、遺族のために後悔していると言えないのか」と問われ「刑の減軽が狙えず極刑なら、演技するかいがない」と発言。自宅で殺害した9人の頭部とともに過ごした2カ月間を「何にも縛られない生活で最高だった」と表現し、「平穏な生活が送れれば、懲役でも極刑でもいい」としている。

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