父白鸚と親子役 幸四郎「あこがれていた十兵衛」

2020年2月28日 02時00分

「三月大歌舞伎」への抱負を語る松本幸四郎=東京都中央区で

◆三月大歌舞伎で名作「伊賀越道中双六 沼津」

 東京・歌舞伎座の「三月大歌舞伎」夜の部(午後4時半開演)で、松本幸四郎(47)が名作「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく) 沼津」に出演する。親子の役を父松本白鸚(77)とともに演じるが、実際の親子が親子を演じることに「まれなことだと思う。本当の親子でなければできないものをお見せできたら」と意気込む。 (山岸利行)
 呉服屋十兵衛(幸四郎)が年老いた平作(白鸚)と沼津の街道で出会う。平作を荷物持ちとして雇うが、やがて平作が生き別れた父親であることがわかる。そして、十兵衛と平作が今や敵味方の悲しい運命にあることも明らかになって…。「伊賀越の仇(あだ)討ち」に材をとった作品で、「赤穂浪士」「曽我兄弟」と並んで三大仇討ちとして知られる。
 「十兵衛はあこがれていた役で、やりたいと思っていた」と話すが、昨年の歌舞伎座での「秀山祭九月大歌舞伎」で経験済み。ただ、この時は体調を崩して休演した叔父中村吉右衛門の代役で三日間限定だった。三日だったが、「やっぱりいい芝居、傑作だと思った」と言う。今回は本役として舞台に臨む。吉右衛門からは「商人だがおとこ気がある」と人物像を教わった。

「沼津」で呉服屋十兵衛を演じる松本幸四郎

 前半の平作との掛け合いはにぎやかで楽しく、「色気のある若い男を」、その後、事情が明らかになってきて「おとこ気を見せる」そんな舞台をめざす。「親に会いたいという気持ちを大事に演じたい」
 今回、白鸚との共演に「夢にも思っていなかった」と驚きながらも「(白鸚は)歌舞伎を一番教えてもらった役者。初役なのできっちり演じたい」と気を引き締める。
 昼の部(午前十一時開演)では、「新薄雪物語(しんうすゆきものがたり)」で園部左衛門を演じる。薄雪姫(片岡孝太郎)と恋仲になるが、若い二人には謀反の疑いがかけられて…。吉右衛門や片岡仁左衛門らも出演する豪華な顔触れ。「これはほんとに大歌舞伎。左衛門は疑いをかけられるような人物ではない。まっすぐな人物として演じられたら」
 ほかに、軽妙洒脱(しゃだつ)な舞踊劇「高坏(たかつき)」で次郎冠者役。酒に酔った次郎冠者がげたを踏み鳴らす場面が見どころ。「軽やかさと楽しさが必要。しっかり踊りたい」と意気込む。
 「十代目松本幸四郎」を襲名して二年余。すっかり板についてきた印象があるが、「幸四郎として舞台に立ち続けるしかありませんから」と冷静に構える。夏には東京五輪・パラリンピックが控え、日本の伝統芸能を発信する好機。「しっかり歌舞伎を演じるだけ。(歌舞伎の)空気に触れに来ていただきたい」とアピールした。
     ◇
 新型コロナウイルス感染防止のため「三月大歌舞伎」は三月二~十日が中止、十一~二十六日の公演となる。昼の部はほかに、「春宵桃節会 雛祭り」(中村福助、中村芝翫(しかん)ら)。夜の部はほかに、「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり) 鶴ケ岡八幡社頭の場」(白鸚ら)。
 チケットホン松竹=(電)0570・000・489。

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