<座間事件判決>「聞こえました」と白石被告 死刑言い渡しに微動だにせず

2020年12月15日 21時22分
白石隆浩被告

白石隆浩被告

 極刑の宣告にも身動きしなかった。神奈川県座間市のアパートで2カ月の間に男女9人が殺害、遺棄された事件で、強盗強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)に15日、死刑判決が言い渡された。残虐性だけでなく、心が弱った被害者につけ込んだ卑劣さと、甚だしい人命軽視の態度に繰り返し言及した判決を、被告は淡々とした様子で聞き入った。事件発覚から3年余り、被害者の遺族や友人らの無念は消えることはない。

◆「狡猾、巧妙、卑劣」と断罪

 「被告に対しては、死刑をもって臨むことが真にやむを得ない」。判決言い渡しの瞬間、白石被告は証言台の前で立ったまま微動だにしなかった。裁判長に「聞こえましたか」と尋ねられると、「はい。聞こえました」と消え入りそうな声で答えた。
 言い渡しに際し、白石被告は裁判長に促されて証言台に進んだ。これまでの公判と変わらず背を丸めて両手をだらりと下げ、両肩を後方へ開くしぐさをした。「最初に理由を説明し、主文は後で告げます」と言われると、静かに腰を下ろした。被害者一人一人への犯罪事実が認定されていく中、時折、左手で黒縁の眼鏡を押し上げる以外はじっと聞き入った。
 かつて「防寒のため伸ばしている」と説明した頭髪の先は、拘置所内で没頭する筋力トレーニングで盛り上がった肩に掛かる。判決は「会員制交流サイト(SNS)で自殺願望を表し、精神的に弱っていそうな女性を狙った」「自分にも自殺願望があるように装い、言葉巧みに被害者をだました」と詳細に指摘した。量刑理由で繰り返される「狡猾、巧妙、卑劣」との言葉を聞く態度に、変化はうかがえなかった。

◆初公判から1度も傍聴席を見ず

 公判で「後悔」を口にした白石被告。しかし判決はその理由を、逮捕されたことや「一部の被害者を殺さず口説けばよかった」という「自分本位な後悔にとどまる」と断じた。「なぜ人命を著しく軽視し、多数の尊い命を奪うことになったのかを省みる説明はしていない」。裁判長の厳しい言葉にも、初公判から1度も傍聴席を見ることのないまま、法廷を後にした。
 白石被告は判決前の最後の被告人質問で「判決が出たら控訴せず、おとなしく罪を認め罰を受ける」と述べた。被告と食い違う主張を続けてきた弁護団は判決後、「被告との意思疎通は十分でない。被告は控訴に前向きではないが、死刑判決なので控訴の方向。今回の判決は是正されるべきだ」とした。
 東京地検の山元裕史次席検事は「事実認定および量刑のいずれも当方の主張が認められ、妥当な判決が得られた」とコメントした。(沢田千秋、竹谷直子)

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