GoTo停止 遅きに失した決断だ

2020年12月16日 08時11分
 菅義偉首相が「Go To トラベル」を全国で一時停止すると表明した。一部地域の制限から突然の方針転換だが、新型コロナ感染再拡大は先月から鮮明であり、決断は遅きに失している。
 菅首相は十四日「皆さんが落ち着いた年明けを迎えることができるように最大限の対策を講じる」と一時停止の理由を述べた。
 政府の対策分科会は再三トラベルを見直すよう求めてきた。だが政府は一貫して「トラベルが感染を広げている証拠はない」との立場だった。
 菅首相は方針転換後もトラベルと感染拡大の因果関係について説明をしていない。国民の命に関わる政策の変更理由について首相が語らないではすまされない。
 首相がトラベル続行にこだわる中、各世論調査で内閣支持率が軒並み大きく落ちた。首相の転換が支持率急落に後押しされたことは間違いないだろう。
 遅い決断に業を煮やした国民が、トラベルを早急に一時停止するよう促した形でもあり、国民の意思をもっと早く受け入れるべきだった。
 規制が始まっているイートを含むGoTo事業全体の今後についても指摘したい。キャンセルの手続きなどで消費者も事業者もすでに混乱している。国はキャンセル料を負担したり事業者への補償を行うが、この結果、巨額予算が追加支出されることにもなる。
 菅首相は、自らの決断の遅れが国民の暮らしに大きな迷惑をかけた上、多額の財源を失わせる事実を強く認識すべきだ。
 コロナ禍は未解明の部分が多く、各国政府は手探りの対応を続けざるを得ない。ただその中で菅政権の対応は後手後手の度が過ぎるのではないか。
 トラベルにしても分科会や自治体の要望を真摯(しんし)に聞く姿勢があればより早く決断できたはずだ。
 政府はトラベルの停止作業を可能な限りスムーズに行う一方、最も適切な再開時期を探らねばならない。そのためにも信頼関係を失いつつある自治体との関係も早急に再構築すべきだ。
 トラベル事業に原則として異論はない。ただこの政策はあくまで消費刺激策であり、最も困窮している人々を救う手だてとしては効果が薄い。
 この事業で必要とされるのは政策の主体者である国の的確な対応なはずだ。菅首相には状況に応じた柔軟で機敏な決断を強く求めたい。

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