<新型コロナ>「勝負の3週間」は「敗北」 感染拡大、重症者も増加 政府の対策曲がり角

2020年12月17日 05時50分
 「勝負の3週間」では、新型コロナウイルスの感染拡大は収まらなかった。政府は遅まきながら観光支援事業「GoToトラベル」の全国一時停止を表明し、飲食店などの時短営業要請を延長する意向も示したが、効果は見通せない。さらなる強い対策を求める声も上がる。(井上靖史、藤川大樹)

◆「減少傾向に至らず」

 「残念ながら全体として(感染者数は)減少傾向には至っていない」。16日の衆院内閣委員会の閉会中審査で、野党から「勝負の3週間」に対する評価を問われた西村康稔経済再生担当相はそう答えた。
 西村氏が「3週間が勝負」と感染予防の徹底を訴えたのは先月25日。厚生労働省のまとめによると、15日までの3週間で約4万8000人が感染し、687人が亡くなった。同日現在の重症者は618人にまで増えた。
 国際医療福祉大学病院の高橋和郎教授は「自粛を始めても効果が出るのは早くて10~14日後。まだ(勝負の3週間の)判定はできないが、新規感染者の増加傾向は続いており、明確な効果は認められないと考えられる」と話した。「これまでの経験から、感染者増を予見できた10月下旬にはより強い対策を取ることができたのではないか」。その上で、国民にマスク着用の徹底などを呼び掛けた。

◆「施策と呼び掛け真逆」

 東京や大阪、愛知など少なくとも14都道府県が飲食店などに対し、営業時間短縮を要請している。不要不急の外出自粛も呼び掛けるが、各地の人出は減らない。NTTドコモのデータで、11月25日と12月15日の人出を比べると、東京・新宿駅や大阪・梅田駅、名古屋駅周辺は、ほぼ横ばいだ。
 「政府の行う施策と、呼び掛けが真逆で、国民にメッセージとして伝わっていなかった」。16日の衆院内閣委員会では野党からそんな指摘が相次いだ。
 「トラベル」について、政府の分科会が「ステージ3(感染急増)」相当とみる地域での一時停止を求めたのに、菅義偉首相は当初、感染拡大につながる「エビデンスはない」と停止に同意しなかった。「旅行や移動をしても問題ない」という誤ったメッセージにつながった可能性は否定できない。

◆会食と移動の制限が焦点

 「トラベル」全国一時停止に加え、さらなる対策を求める声が上がる。テーマは「会食」と「移動」だ。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーの1人は「最も感染リスクの高い会食について、飲食店の営業自粛を含めてもう少し踏み込んだ対策が必要になる」と話す。県をまたぐ「移動」自粛も検討課題だという。
 日本医師会の中川俊男会長は16日、「コロナに年末年始はない。忘年会で大勢で盛り上がれば、さらなる感染拡大につながる。クリスマスはサイレントナイトでお願いします」と呼び掛けた。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧