エクモ装着患者、細菌感染の併発が増加…ステロイド剤の副作用か 救命率が上昇しない要因に<新型コロナ>

2020年12月17日 10時02分

人工心肺装置「エクモ」=東京都立多摩総合医療センター提供(共同)

 新型コロナウイルスに感染し最も重い症状になって人工心肺装置エクモを装着する患者で、細菌感染を併発するケースが増えていると、専門医らが指摘している。中等症で投与するステロイド剤の副作用とみられ、エクモを装着した患者の救命率が上昇しない要因となっているという。 (森耕一)
 エクモは、肺がほぼ機能しないほど重症の患者で、1度体外に血液を取り出して酸素を送って肺の役割を代替。その間に患者の肺を休めて回復させる。人工呼吸器でも改善しない場合に使用し、現在も国内で約40人が装着している。

竹田晋浩医師

 専門医でつくる日本COVID―19対策エクモネット代表で埼玉県川口市のかわぐち心臓呼吸器病院の竹田晋浩院長は「重症患者治療は、春ごろは純粋にコロナ肺炎への対応だったが、今はエクモ装着前から2次感染で細菌性肺炎を併発していることが多い」と話す。
 コロナ治療では、レムデシビルなどの抗ウイルス薬に加え、炎症を抑えるステロイド剤のデキサメタゾンの使用が承認されている。患者の免疫細胞が暴走して体を傷つけるケースがあり、免疫を抑制するステロイド剤で対処する。免疫の働きが抑えられるので細菌に感染しやすくなる。
 竹田さんはステロイドが効いて回復する中等症の患者が多いことを強調する。ただ、どの患者にステロイドが効くかは事前にわからず「薬が効かず重症になりウイルスと細菌性肺炎が重なると厳しい治療にならざるを得ない」と指摘する。北海道内の病院では、エクモで治療する患者全員の血液から細菌が検出されたケースもあったという。
 エクモの前段階の人工呼吸器治療では、患者をうつぶせにする方が回復が早いなど、有効な治療法が見えてきた。エクモネットのまとめでは、流行初期には人工呼吸器を装着した患者の4人に1人がエクモに進んでいたが、今は8~9人に1人にまで減った。
 またエクモネットのメンバーの医師らは、コロナウイルスに合わせたエクモの使い方の研修を全都道府県で実施。今月15日までの累計でエクモ装着になった後に回復した患者は214人なのに対し、死亡は93人で海外と比較して成績は悪くない。
 ただ、この救命率は春ごろからあまり上昇していないといい、竹田医師は「2次感染の影響が大きい」と分析する。「寒さが和らぐ春までに治療薬の状況が大きく変わることはあり得ない。今の方法で持ちこたえていくしかない」と話している。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧