<コロナと生きる@いばらき>花火師の技、ネットで開花 土浦花火 20日までオンライン大会

2020年12月18日 07時21分

ユーチューブで公開されている山崎煙火製造所の10号玉作品

 新型コロナウイルスの影響で発表の場を失った花火師たちの作品をネット上で披露しようと、「土浦全国オンライン花火競技大会」が二十日まで開催されている。「日本三大花火大会」の一つとされる大会の中止を受けた対応で、打ち上げ花火の動画をユーチューブで配信、有識者と視聴者が審査し優勝を決める。参加する花火業者は「コロナに負けず、勇気を与えられれば」と来年の開催を願う。 (林容史)
 土浦市の桜川河川敷で毎秋開かれる土浦全国花火競技大会には、全国から七十万〜八十万人の観客が訪れている。しかし、今年はコロナ禍で全国各地の花火大会が軒並み中止される中、土浦市などでつくる実行委員会も大会を取りやめた。
 このため、花火業者を応援しようとネット上の競技大会を企画した。競技は十号玉(直径三十センチ)とスターマインの二部門。全国の五十二業者が参加し、十号玉には三十六作品、スターマインには十六作品をエントリー。十号玉は、参加業者の作品を十一月に霞ケ浦で撮影用に打ち上げた。
 審査するのは、越光男・東京大学名誉教授、写真家の松本美枝子さんら五人の有識者と、動画を見た視聴者だ。有識者の採点に加え、視聴者の「高評価ボタン」の投票で入選を決める。 優勝に十万円、準優勝に七万円、入選には五万円の賞金を贈る。公開、審査は二十日まで。「土浦全国花火競技大会」で検索する。
<土浦全国花火競技大会> 秋田県大仙市、新潟県長岡市の大会とともに「日本三大花火大会」と称される。毎年秋に開催されている。1925(大正14)年、神龍寺(土浦市文京町)24代住職の故秋元梅峯師が、霞ケ浦海軍航空隊の殉職者の慰霊と関東大震災後の不況にあえぐ商店街の救済を目的に、私財を投じて霞ケ浦湖畔で開催したのが始まり。大会の華は数十〜数百発の花火を組み合わせ、短時間に連続して打ち上げるスターマイン(速射連発花火)。

◆山崎煙火製造所・山崎芳男さん 来年はみんなで上を

来年は上を向いて、勇気が与えられればと話す山崎芳男さん=つくば市で

 大会の上位入賞の常連で一九〇三(明治三十六)年創業の山崎煙火製造所(つくば市)を率いる山崎芳男さん(70)は「従業員全員が、ほかの業者よりも自分たちの花火が上に上がるよう、つくっている」と大会への思い入れは強い。
 大会は、もうけという意味ではあまり大きくはないが、全国一の称号を目指し、名だたる花火師たちの意地がぶつかり合う場で、地元開催だけに負けられない戦いだ。毎年十月の大会は一年を締めくくる集大成の意味合いもあり、大会後は翌年に向け、新作の製造に着手する。
 しかし、新型コロナで今年は違った。例年、大きな大会を十三、十四カ所転戦しているが、春の緊急事態宣言と前後して、打ち上げの予定は全くなくなった。
 従業員三十五人を抱え、売り上げは六割減と苦しい状況だ。「秋以降には下火になるのでは」という希望も、繰り返される感染拡大で打ち砕かれ、土浦の大会もオンラインに切り替わった。「市も開催に向け、ぎりぎりまで頑張ってくれた」とねぎらう。
 新型コロナの収束を願い、八月からはつくば、土浦、常総市などで応援花火を打ち上げた。「三密」を避けるため、事前に打ち上げ場所を公表しないサプライズ企画。山崎さんは「本当は多くの人たちに、そばで花火を見てもらいたい。無観客でやるのは…」と寂しげに漏らす。
 山崎さんは来年も「明るい展望は望めないのかな」と話す。それなら新型コロナと共存するため、「何十万人も集めなくても、地区ごとに時間を短くして花火が打ち上げられれば。コロナに負けないで上を向いて、勇気を与えられれば」と力を込めた。

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