「鬼」を考察/下絵は苦手/交渉次第で

2020年12月18日 07時41分

安藤美由紀(47歳)サンデー版編集部

◆「鬼」を考察

 サンデー版編集部は日曜日の別刷りを作成している。メインの仕事は、フロント見開きページの大図解だ。原則として五週に一度の担当。余裕かというと、そうでもない。
 最近では「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」ブームにちなみ「鬼」をテーマに取り上げた。しかし歴史や文学の教養がなく、参考文献を読むのも一苦労。京都府福知山市の「日本の鬼の交流博物館」の学芸員さんとリモートでやりとりし、イメージをふくらませた。
 鬼の中の鬼とされる京都・大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)伝説を中心に、桃太郎などの昔話、なまはげなど各地に残る「善鬼」を取り上げた。嫉妬などから誰もが「鬼」になる可能性があり、鬼は畏れと哀(かな)しみを併せもつ存在であることも伝えた。一つのテーマを多角的に取り上げられるのが、大図解の醍醐味(だいごみ)だ。

◆下絵は苦手

 難しいテーマを親しみやすく伝えることも大図解の目指すところ。「データが変える社会」というテーマでは、最新情報技術を人間の体に例えて表現。ビッグデータは「食べ物」、人工知能(AI)は「頭脳」、第五世代(5G)移動通信システムは「神経」というように。
 コンテの下絵は担当者が描くのだが、私は絵が苦手。ぐにゃぐにゃのタコのような人間を描いて、恥を忍んで監修を頼んだ有識者に見せる。デザイナーの力により、タコ人間は立派なIT人間に。監修者からは「まさにビフォー&アフターですね!」と“激賞”された。

◆交渉次第で

 沖縄県の米軍基地問題を取り上げた「辺野古(へのこ)」の回では、海底にある軟弱地盤を敏腕デザイナーさんに立体的に描いてもらうことに。
 デザイナーは美しい絵柄にこだわったが、ニュースである軟弱地盤に絞るよう要請。デザイナーは「それでは分からない」と反対したが、最後は社会部の担当記者、部長と三人で囲んで説得。納得してこちらの意向通り、描いてもらった。
 紙面ができても校閲のチェックが入り、作業は永遠に終わらないと感じることも。校了間際になると帰宅後、家事もそこそこにベッドに倒れ込む日もある。それでも別刷りが届くと、疲れが吹っ飛ぶどころか、自分がすごいアーティストになった気分になる、幸せな職場だ。
<あんどう・みゆき> 東京都出身。1996年入社。政治経済担当だが歴史文化にも手を広げ混乱中。週末は未就学児とサイクリング。クロスバイクが少し自慢。 

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