小児がん経験した18歳、サンタの活動が生きる力 入院の子どもにプレゼント

2020年12月18日 17時00分

小児科の医師にクリスマスプレゼントを渡す亀山晴生さん(左)=東京都港区の東京慈恵医大病院で(亀山高子さん提供)

 クリスマスを前に、小児がん経験者やその家族でつくるグループが、入院生活を送る子どもたちにおもちゃをプレゼントしている。今年はコロナ禍で、入院中の子どもと家族の面会が制限されるケースもある。プレゼントには「さみしさを紛らわせて、少しでも楽しい時間を過ごして」との願いが込められている。(梅野光春)

◆一緒に過ごした小児病棟の子たちへ

 人気漫画「鬼滅の刃」の登場人物をイメージしたオリジナル消しゴムの製作キットやプラレール…。今月2日、横浜市戸塚区の高校3年、亀山晴生さん(18)は母・高子さん(49)と東京慈恵医大病院(港区)を訪ね、小児病棟に入院する子どもに贈るおもちゃ5点を担当医師に手渡した。
 亀山さんは中学3年の時、小児がんの一種の脳腫瘍が判明。手術や抗がん剤治療、再発の治療を経た今も、物が二重に見える複視や、重い倦怠感などの後遺症のため、月1~2回の通院が欠かせない。
 同病院の小児病棟には今年に入り4回、短期入院した。亀山さんは「重い病気にかかっても、小さい子たちは明るく前向き。その姿に励まされた」と振り返る。プレゼントには、その時の気持ちを思い出し「楽しいクリスマスを」などと書いたカードを添えた。

◆後遺症や合併症…「誰かに喜んでもらう場」

 この活動は小児がんの経験者や家族のグループ「みんなのレモネードの会」(横浜市西区)が2017年、埼玉県の病院1カ所に贈ったことからスタート。今年は東京慈恵医大病院や三重大病院(津市)など1都6県の13カ所に、亀山さんら会員11人が贈るまでに広がった。いずれも、会員の子どもたちが闘病生活を送った施設だ。

プレゼントに添えるカードを作る亀山晴生さん=横浜市戸塚区で(亀山高子さん提供)

 同会事務局の栄島佳子さん(49)は「小児がんは治療後も、後遺症や合併症で元の暮らしに戻ることができない場合が多く、自己肯定感が下がりやすい。プレゼントすることで、誰かに喜んでもらう場ができる」と活動の意義を語る。
 このため、入院中の子どもたちに欲しいものを聞いてからプレゼントを購入、病院や施設へ持参または郵送するというプロセスを、あえて踏む。1カ所当たり1万円前後の予算で、資金は寄付などで賄う。

◆コロナで、入院する子たちに面会制限

 今年はコロナ禍で、入院患者との面会を制限する病院も少なくない。東京慈恵医大病院の小児病棟では、毎日6~10時間の面会ができたが、現在は週2回、1回2時間までに制限されている。同病院で小児がんの治療にあたる柳沢隆昭医師は「毎日面会できていても、家族が帰るとき、しがみついて泣く子もいる。今のように制限があると、なおさらつらいだろう」と語る。
 こうした中で無事に役目を果たした亀山さん。「プレゼントを買いながら、子どもたちが遊ぶ姿を想像して、うれしい気持ちになった。自分自身、今を生きるのが精いっぱいだけど、通信制の大学に進んで教員免許を取りたい」と夢も語ってくれた。

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