調布陥没「トンネル工事が原因」 有識者委が中間報告 NEXCO東日本が補償表明

2020年12月18日 21時36分

工事の影響を認めて陳謝するNEXCO東日本関東支社の加藤健治・建設事業部長(右)ら=18日、東京都練馬区で

 東京外かく環状道路(外環道)の地下トンネルルート上にある東京都調布市の市道が陥没し、地下に空洞が見つかった問題で、東日本高速道路(NEXCO東日本)の有識者委員会は18日、「トンネルを掘るシールド工事が要因の1つ」とする中間報告をまとめた。同社は、住宅に発生したひび割れなどとの因果関係も認めて陳謝し、個別に補償する方針を表明した。(梅野光春)

◆掘削断面が緩んで土砂が落ち込む

 中間報告では、トンネルを掘っている地下約47メートルの深さに、小さな石の割合が高くシールドマシン(大型掘削機)で取り込みにくい地盤があると確認。夜間の工事休止後にマシンのカッターが回転しなくなり、動きやすいよう地中に気泡を注入したところ掘削断面が緩み、トンネル上の土砂が落ちこんだと推定した。

 トンネルの上を覆う地盤には緩衝材の役目を果たす粘土分が少なく、工事の振動が地上に伝わりやすいと分析。トンネルの真上を中心に、最大で1.9センチの地盤沈下が起きていた。
 有識者委員会の小泉淳委員長は会見で、「特殊な地盤でシールド工事を行うという複合的な要因が重なったと推定している」と説明。未着工の外環道ルート上にも同様の地盤が複数あるとみられ、「(地盤改良など)掘削前に対策が必要だ」と指摘した。
 また、シールドマシンが想定より多く土砂を取り込んだ可能性も言及。マシンが直径16メートルと大きく、少しの誤差でも陥没などにつながる危険性があるため、検証を続けるとした。

◆「メカニズム判明までシールド停止」


 会見に同席したNEXCO東日本関東支社の加藤健治・建設事業部長は「工事が要因の1つと分かった。誠に申し訳ない」と陳謝。「家屋損傷があれば誠意を持って対応する。陥没などのメカニズムが判明するまで、外環道のシールド工事は止める」と述べた。
 NEXCO東日本は、有識者委員会による調査を年度内に終え、因果関係の詳細を公表する方針。工期への影響は不明という。
 市道陥没は10月18日に発生。その後、周辺2カ所の地中で長さ約30メートルの空洞が見つかった。

◆リニアの大深度工事へ影響必至

 地表から40メートル以上深い地下空間は2001年施行の大深度地下使用法により、首都圏、中部圏、近畿圏の一部区域を対象に、公共目的の事業に使用が認められている。用地買収は不要。東京外かく環状道路(外環道)やJR東海が進めるリニア中央新幹線など4件が認可されている。
 リニア工事では21年度初めに北品川非常口(東京都品川区)からシールドマシンが発進し、都内の大深度工事が始まる予定。
 芝浦工業大の稲積いなづみ真哉教授(地盤工学)によると、河川に近い地盤の砂などに含まれる地下水がシールドマシンの振動で分離して流れ出し、陥没や空洞ができる現象は珍しくないという。「こうした現象は大深度でも起きる。リニアのトンネルも多摩川や中小河川の流れる地域を掘る。ボーリング調査の数を増やし、地中をレーダー探査するなど、事前に対策を考える必要がある」と話している。

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