防潮堤建設、進む杭打ち 東海第二の事故対策工事 認可後、原電が初公開

2020年12月19日 07時16分

耐震補強工事が進む主排気筒(右奥)。左手前は原子炉建屋=いずれも東海村で(代表撮影)

 日本原子力発電(原電)は、東海第二原発(東海村)の再稼働に向けた事故対策工事の現場を報道機関に公開した。二〇一八年に原子力規制委員会が工事計画を認可して以降、メディア向けに構内を公開するのは初めて。最大一七・一メートルの津波を想定した防潮堤(北側)の建設現場では、構造材となる巨大な「鋼管杭(くい)」を地中に打ち込む作業が始まっていた。 (宮尾幹成)
 原電は二二年十二月に事故対策工事を終える予定で、現在は一日平均千四百人が作業に当たる。
 東海第二は一一年の東日本大震災で五・四メートルの津波を受け、非常用ディーゼル発電機のエンジンを冷やすための海水ポンプが水没するなどしたが、辛うじて原子炉冷却に必要な電源は確保。東京電力福島第一原発のような事故は免れた。
 福島事故後に施行された原発の新規制基準に基づき新たに建設される防潮堤は、海沿いが高さ二十メートル、内陸側が高さ十八メートルで、敷地全体を全長約一・七キロのコの字形に囲む。地中にセメントなどを注入して地盤改良した上で、直径二・五メートルの鋼管杭約六百本を地下約六十メートルの安定した岩盤まで到達させ、地上に出た部分をコンクリートで覆って巨大な壁を造る計画だ。

防潮堤の構造材となる鋼管杭を地中に打ち込む作業

 他の非常用電源が失われた場合のバックアップ「常設代替高圧電源装置」の置き場の予定地は、敷地の造成工事中だった。原子炉建屋より高い場所に、エンジンを空気で冷やす方式の高圧電源車六台を配備。コンクリートの壁で囲み、浸水にも備える。地下には予備の冷却水を蓄える「淡水貯水設備」も設置する。
 原子炉建屋の脇では、「緊急用海水ポンプピット」を造るための地下三十六メートルの掘削工事が完了。原子炉停止時の余熱を冷ます「残留熱除去系」が使えなくなった場合に、地下の取水トンネルから引いた海水をくみ上げて供給する。

非常用ディーゼル発電機の故障に備えた高圧電源車の置き場の造成工事

 原子炉建屋やタービン建屋からの排気を放出する主排気筒(高さ約百四十メートル)の耐震性を高める工事も進んでいた。
 村部良和東海事業本部長は「地元の皆さまに心配をおかけしないよう、安全を最優先に工事を進めていきたい」と述べた。
 事故対策工事費は、規制委で審査中のテロ対策工事と合わせて約三千五百億円に上るとみられている。再稼働には東海村や水戸市など周辺六市村の事前同意が必要だが、現時点では同意が出そろう見通しは立っていない。
 現場公開は、本紙など県政記者クラブ加盟社を対象に十五日に実施。写真は朝日新聞社が代表撮影した。

残留熱除去系に海水を引けなくなった場合に別のラインから海水をくみ上げるポンプピットの建設工事


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