ハンセン病と闘い「命」と向き合う 作家・北条民雄さんが東村山で無観客イベント+生配信

2020年12月20日 06時42分

竹下景子さん(右)と対談するドリアン助川さん(東村山市提供)

 文学イベント「北条民雄と多磨全生園」が19日、東村山市内で無観客で開かれ、ユーチューブで生配信された。市が主催し、日本ペンクラブが共催、企画監修。朗読や対談などで北条作品の現代的な意義を浮かび上がらせた。 (林朋実)
 北条民雄(一九一四〜三七年)は、二十歳でハンセン病療養施設「全生病院」(現多磨全生園=同市)に入院。病と闘いながら自身の体験に基づく小説を書き続け、川端康成から高い評価を受けたが、二十三歳で結核のため亡くなった。
 イベントでは、人間国宝の講談師神田松鯉(しょうり)さんと、ハンセン病の元患者を描いた小説「あん」の著者ドリアン助川さんが、川端と北条の書簡を朗読。ピアノの調べに乗せて読み上げた。
 何度も「絶望」と書きながら「自分にできるのは文学しかない」と志す北条と、北条の作品を「実に立派」と激賞して執筆を支える川端の言葉が力強く会場に響いた。
 俳優の中井貴恵さんは、ハンセン病の特効薬がなかった時代に療養所に入ることになり、自殺と生の間で揺れ、命と向き合う主人公を描いた北条の代表作「いのちの初夜」を朗読した。
 ドリアンさんは、俳優の竹下景子さんとの対談や、全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長の藤崎陸安(みちやす)さん、国立ハンセン病資料館学芸員の木村哲也さん、渡部尚市長らとのシンポジウムで、コロナ禍の今、北条作品を読むことの意味に言及。「大学で学生に北条作品を読ませると、ほぼ全員が『読んで良かった』と言う。そういう作家だと思う」と力を込めた。
 木村さんは「ハンセン病は日本では『過去の病気』と言っていいが、人間関係を絶たれて孤独に生きる人は、形を変えて今もいる。北条作品に感動した、と資料館に来る人は本当に多い」と説明。
 渡部市長は「命の意味を問い掛けてくれる作品。今は新型コロナがまん延し、分断の時代。生きづらさを抱える若い人に読んでほしい」と語った。 

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