<首都残景>(19)国会図書館国会分館 議員活動支える「奥の院」

2020年12月20日 07時00分

天井がアーチを描く通路の両側に書棚が並ぶ館内=いずれも千代田区の国会で

 一九三六年に竣工(しゅんこう)した日本の議会政治の殿堂、国会議事堂の建物の外観は誰でも知っている。中央にとんがり帽子状の塔があり、向かって右側が参議院、左側が衆議院。では中央の塔の中には何があるのだろう。
 正解は、何もなし。
 細かくは六階部分まで吹き抜けのホールがあり、その上にかつてはダンスホール、展望台などがあった。しかし警備上の理由などから戦後は立ち入り禁止となり、開かずの間となった。この結果、議事堂内でもっとも高い場所に陣取るのは、吹き抜けを囲んだ四、五階部分に「コ」の字形にある国会図書館国会分館ということになる。
 議事堂に隣接して立つ本館がだれでも利用できる開かれた図書館であるのに対し、分館は国会議員や秘書など国会関係者だけの利用を想定している。つまり一般には、ほぼ公開されることがない「奥の院」だ。
 「議員の国会活動を助けるため必要な資料を素早く、的確に提供するのが分館のつとめ」と伊藤淑子課長補佐。このために開架式で目的の資料を手に取って見ることができる。
 衆参本会議や委員会の会議録を取りそろえてあるほか、日本全国の新聞や雑誌、「米国」「新型コロナ」といった時節のテーマにそった図書が並べてある。国会図書館が、資料や解説を独自でまとめた冊子などもある。
 本会議中は閲覧が特に多く、毎年四万人以上が利用するそうだ。
 元分館長が詠んだという百人一首をもじった和歌が一首。
 これやコの 衆も参もつどいては、読むも探すも分館の席
 館内は、曲線の梁(はり)で構成された天井などが趣を感じさせる。
 豪華な革張りのソファや厚手のカーテンがある議員閲覧室、パソコンを備えた議員秘書専用席などは、ここならではだ。
 大きなステンドグラスにも目を引かれる。実はこれ、議事堂の正面玄関ともいえる中央広間の壁面上部にあるステンドグラスの裏側の姿だ。板垣退助、大隈重信、伊藤博文の像が並ぶ中央広間は国会見学ツアーで足を踏み入れることができる。見学の際は、ステンドグラスの奥に控える寡黙な縁の下の力持ちの存在に思いをはせるのもいい。

国会議員のみが利用できる閲覧室

大きなステンドグラスやランプの明かりが歴史を感じさせる国会図書館国会分館の入り口。新聞のストックは廊下にまで並んでいた

 文・坂本充孝/写真・木口慎子
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