<新型コロナ>大会中止でも貫くカバディ愛 昨年全国3位 自由の森学園

2020年12月20日 07時28分

実戦形式の練習に励むカバディ部員たち。レイダー(中)はアンティに押さえ込まれながらも、自陣へ必死に手を伸ばしている=飯能市小岩井の自由の森学園中学・高校で

 飯能市小岩井の自由の森学園中学・高校に、全国的にも珍しいカバディ部がある。創部10年に満たないが、昨年の全日本選手権では男子チームが社会人や大学生相手に3位に輝いた強豪だ。今年は新型コロナウイルスの影響で大会が中止になったが、部員たちは“カバディ愛”を貫いて練習に励んでいる。 (杉原雄介)
 十一月、同校の体育館では試合さながらの激しい練習が行われていた。敵陣に入った一人のレイダー(攻撃側)を捕まえようと、七人のアンティ(守備側)が一斉に迫る。レイダーは機敏に動き回ってアンティにタッチ。自陣に戻れば得点だ。アンティに体を捕まれながらも必死に手足を伸ばし、迫力ある攻防を繰り広げた。
 激しい接触プレーに加え、動きの読み合いも重要となるカバディ。日本代表の強化指定選手に選ばれた経験もある阿部克海選手(高校三年)は「レイダーの動きに正解がなく、自由に考えられるのが魅力」と語る。同部顧問の菅(すが)香保さん(52)は「『カバディカバディ…』と連呼するひょうきんなイメージが広まっているが、実際はかなり真剣なスポーツ」と奥深さを説く。
 同校カバディ部は二〇一一年に創部。野球経験がある当時高校二年の男子生徒が、テレビ番組でカバディを見て「甲子園に行けなくても、これなら活躍できるかも」と思い立ったことがきっかけだった。当初のメンバーは手品部やプロレス研究会、帰宅部から集まった七〜八人。ゼロからのスタートだった。
 部員たちは日本カバディ協会に指導者の派遣を依頼し、休日は東京の社会人チームの練習に参加。菅さんは「試合に出ると他チームの選手が熱心に指導してくれた。カバディ界のみんなに育ててもらった」と振り返る。
 パワーで勝る大人にチームワークで対抗するため、練習中も選手同士で気付いたことを指摘し合って信頼関係を高めている。部員も年々増え、現在は中高合わせて四十人以上に。男子チームは昨年十一月の全日本選手権に唯一の中高生チームとして出場し、十八チーム中で三位と過去最高の好成績を挙げた。
 さらなる飛躍を目指した今年、コロナ禍で全日本選手権などが中止となった。目標を失った選手たちの落胆は大きく、現在も練習時間などに制約はあるが、コートには笑顔が戻っている。

昨年11月の全日本選手権で3位に入り、メダルを手に笑顔を見せる男子チームの部員たち(菅香保さん提供)

 阿部選手は「全日本優勝しか狙っていなかったので、大会がないのはショックだが、練習するうちにカバディが好きだと再確認できた。中高六年間をカバディにかけてきた意味はあった」と力を込める。
 後輩の指導もモチベーションとなっている。女子チーム唯一の高校三年生の小松滴さんは「自分ができない分まで後輩に大会で活躍してほしい。ずっとカバディを好きでいてもらえるよう、卒業まで部内の雰囲気づくりを頑張りたい」と明るく語る。夢を下級生に託し、高校生活は最後までカバディにささげるつもりだ。
<カバディ> 鬼ごっことドッジボールを合わせたようなルールの団体競技。1チーム7人でプレーする。攻撃側の選手(レイダー)1人が敵陣に入り、守備側の選手(アンティ)にタッチして自陣に戻れば、タッチした人数分が得点になる。守備側はレイダーの帰陣を阻止すれば1点が入る。女子30分、男子40分の試合時間で攻守を繰り返して得点を競う。レイダーは攻撃中に「カバディカバディ…」と息継ぎなしに繰り返し、途切れるとアウトとなる。インド発祥で主に南アジアで盛ん。日本カバディ協会によると、国内の競技者は約300人、愛好者は5000人ほど。

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