なぜ日本は女性活躍が遅れているのか? 「長く過小評価」「男性中心の権力構造」2人の活躍女性に聞く

2020年12月21日 06時00分
 日本で女性が参政権を得てから今年で75年。なぜ、国会に女性議員が増えないのか。小泉政権で男女共同参画担当相を務めた自民党の猪口邦子参院議員と、政権獲得当時の民主党で衆院議員を務めた早稲田大の中林美恵子教授に、背景と今後の展望を聞いた。(聞き手・柚木まり)

◆幅広い選挙区で擁立を 猪口邦子・元男女共同参画相

 ―政府は「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%に」との目標達成時期を先送りする。
 「男女共同参画担当相だった05年当時、5年後の数値目標を入れるべきだと思ったくらいだ。15年という誰も責任が持てない時間の果てに、達成ができなかったことは悔しい。女性に希望が持てる啓発教育が十分でなかったのか。能力がある女性はたくさんいるが社会文化が変わらず起用されていないのか。後者だろう」
 ―なぜ、国会で女性議員が増えないのか。

今後の女性参政権のあり方について語る自民党の猪口邦子参院議員=参院議員会館で

 「女性で地盤を譲り受けて国会議員になる人は少ない。別の職業で身を立ててきて、才能が察知された時に候補に推される。長く女性は過小評価され、過小起用されてきた。女性を重点的に起用する必要がある」
 ―具体策はあるか。
 「女性は公認候補になれば当選する割合が高いと思う。そもそも今は、女性候補には当選が困難な選挙区しか空いていない場合が多い。より広い範囲で擁立すべきだ。女性候補を大量に擁立し、勝ってこいと党として支援したらいい」
 ―菅内閣で女性閣僚は2人。自民党内の変化は。
 「女性閣僚が5人の時も、民間から登用した時もあったが、閣僚だけでなく、政府や党の役職でもっと起用することが望ましい。党幹部全員が男性の写真はメッセージ性に欠ける。民主主義の中で女性の貢献が主流となり、柱になるべきだ。その決意がなければ、党として今後の転換点を乗り越えられない」

 いのぐち・くにこ 1952年、千葉県出身。米エール大大学院政治学博士号(Ph.D.)取得。上智大名誉教授。専門は国際政治学。2005年の衆院選に自民党から立候補し初当選、当選1回で少子化・男女共同参画担当相を務める。10年から参院議員(千葉選挙区)。

◆生活に根ざす声の代弁者に 早稲田大の中林美恵子教授

 ―政治分野での日本の女性進出は遅れている。
 「なぜ国会議員に女性が必要かというと、社会での性差別に困っている人たちや、子育てや介護など社会的な役割を担う生活者の声を代弁し、社会構造を変える必要があるからだ。ただ世界順位での見栄えを気にして、女性議員を増やそうという意見には賛同できない。生活に根差した女性の声を立法に反映してくれない議員では意味がない」

早稲田大の中林美恵子教授(本人提供)

 ―なぜ女性議員が増えないのか。
 「日本では、政党の仕組みありきで、男性中心の権力構造の中で、彼らの意向に沿った女性候補が選ばれる。選ばれる基準も明確ではない。有権者の下からの改革の声が反映されず、予備選挙で有権者が候補者を選べる米国とは異なる」
 ―米国ではどうか。
 「米国の女性議員の比率は世界でほぼ真ん中の順位だが、徐々に確実に女性議員を増やしてきた。今年の大統領選と同時に実施された上下両院の選挙では、2018年に続き史上最多の女性議員が誕生した」
 ―コロナ禍で女性を取り巻く環境は厳しい。
 「さまざまな場面で男女の機会均等を定める制度が必要だ。女性議員が30%を超える一つの塊となれば、立法過程で無視はできない。人数を増やすと同時に、候補者を女性党員に選んでもらうなどの工夫が必要だ。当選回数を重ねなければ責任ある役職を与えないような政治文化も見直すべきだ。女性候補に厳しい選挙区ばかりを割り当てないなどの支援も欠かせない」

 なかばやし・みえこ 1960年、埼玉県出身。大阪大大学院博士課程修了。元米議会上院補佐官。早稲田大教授。米マンスフィールド財団名誉フェロー。専門は米国政治と国際公共政策。2009年の衆院選で初当選し、1期務める。

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