<ひと ゆめ みらい>ボールの傷もデザインに 高松雅幸(たかまつ・まさゆき)さん(46)=町田市

2020年12月21日 07時03分

父の恵三さん(左)とボールホルダーを手にする高松雅幸さん。手前は恵三さんが作るアルミ製の部品=町田市で

 サッカーなど球技用のボールを安全にかっこよく持ち運べる独自の「ボールホルダー」を開発した。自動車の板金職人だった父恵三(けいぞう)さん(72)の技術と子どもたちへの思いが詰まったボールホルダーを、父の名前に由来する「KEI(ケイ)−CRAFT(クラフト)」のブランドで販売。リフティングなどサッカーの技術を競うエンターテインメント「フリースタイルフットボール」の選手や愛好家を中心に浸透しつつある。
 本業は建物の構造設計を手掛ける一級建築士で、妻(46)、中学三年の長男(15)、中学一年の次男(13)の四人暮らし。商品開発のきっかけは五年半前に「サッカーを習っている孫たちのために」と、恵三さんが手作りしたボールホルダーだった。写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿すると、フリースタイルフットボールの愛好家から「かっこいい」「使ってみたい」と反響が寄せられた。
 恵三さんは六十五歳まで、相模原市の自動車会社に板金職人として勤務。トヨタ2000GTなど往年の名車を修理して復活させるレストアも手掛けた。退職後も孫の椅子や滑り台などを作っていた。「日本が誇る職人の技術を埋もれさせるのはもったいない」。そんな思いが募っていたこともあり、ボールホルダーの商品化を目指した。
 二十センチ四方に切り出したアルミ板を木づちや金づちでたたき、円形の底の部品を製作。帯状の牛革を組み合わせ、ボールを包む部分を作る。家族で連日深夜まで議論し、改良を重ねた。「使い込んで傷だらけになったボールは、練習を重ねた証しだからかっこいい」と、ボールを見せるデザインにこだわった。リュックサックの上部や下部に金具で固定することで、安全に持ち運べる工夫をした。
 二〇一七年と一九年、フリースタイルフットボールの世界大会が開かれたチェコに足を運んだ。現地で「KEI−CRAFT」「マスター」と声を掛けられ、手応えを感じた。当初は受注生産のみだったが、新たにポリプロピレン製の安価なボールホルダー「XO−Rモデル」を開発。このモデルは今年、中小企業の優れた新商品として、町田市トライアル発注認定制度の認定商品に選ばれた。
 「いつか街を歩いている子どもたちがボールホルダーを使っているのを見てみたい」。そんな思いを込め、作り続けている。 (服部展和)
<KEI−CRAFT> 高松雅幸さんが社長を務めるaR構造設計事務所(町田市)が運営するボールホルダーのブランド。ボールホルダーはサッカー、バスケット、バレーボール用で、牛革とアルミを使ったオリジナルモデル(税別1万2000円)やXO−Rモデル(同2480円)などがある。受注生産もできる。問い合わせは=電042(860)6678=かホームページ(https://www.kei-craft.jp/)から。

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