「お一人さま」最期支援 葬儀、納骨、遺品整理まで…新事業を立ち上げ

2020年12月21日 08時06分
<ひと物語>柴原幸保さん

新事業「家族の代わりに」のチラシを手にする柴原幸保さん=いずれも秩父市の慈眼寺で

 「自分が死んだらお墓や遺品はどうすれば」−。とりわけ身寄りのない高齢者らには切実な問題だ。そんな不安に寄り添い、最期までサポートする事業「家族の代わりに」を、秩父市のNPO法人「秩父こみにてい」が十五日から始めた。代表理事で慈眼寺(じげんじ)(同市)の住職でもある柴原幸保さん(61)は、「いざというとき」のために早くから準備を整えておくことの大切さを強調する。
 「家族の代わりに」の対象は、身寄りも、頼れる親族もいない秩父地域の五十歳以上の男女。身元保証をはじめ遺体安置、葬儀、納骨、永代供養、遺品整理、さまざまな事務手続きなどを支援する。
 十八日に同寺で開かれた、初めての無料説明会。新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、四人限定での開催だったが、すぐに希望者で埋まったという。柴原さんは「それだけ緊迫した問題を抱えておられる方がいるということでしょうね」と推察する。

「家族の代わりに」の事業について説明する柴原さん

 実家である慈眼寺の住職になって二十年あまり。僧侶として生と死を見つめてきた。近年は独身や死別、離婚など事情はさまざまながら、「お一人さま」と呼ばれる高齢者が増え、孤独死も珍しくない。「何とかしなければ」と考えていたところ、昨年から今年にかけて孤独死の葬儀を三件執り行い、母親をみとった五十代の独身女性からは「私が死んだらどうすれば」と相談を受けた。
 進学や就職で若者が次々と地元を離れる秩父地域も高齢化が著しい。「この事業を進めなければ」という思いに突き動かされた。「早い段階からつながりを築く必要があるということ。第三者が孤独死に立ち会ったような時でも、どこに連絡すればいいのか分かるようにしておくだけでもすごく大事なんだと実感したんです」
 新事業の立ち上げを機に、「秩父こみにてい」の体制強化も考えている。その一つが若い世代のインターン(就業体験)受け入れだ。老いや死は誰にとっても避けられないからこそ、若い人にも問題意識を持ってもらいたい。「週に一、二回でもいい。リモートによる参画も含め、若い人たちに加わってもらえるようなきっかけもつくっていきたい。将来的には、各地の寺院とのつながりも増やしていけたら」と今後を見据える。
 「家族の代わりに」の無料説明会は今後、毎月第三金曜に開催していく方針で、来年一月十五日の説明会も定員に達した。問い合わせは、NPO法人「秩父こみにてい」=電0494(22)7787=へ。 (久間木聡)
<しばはら・ゆきやす> 1959年、秩父市生まれ。駒沢大仏教学部卒。曹洞宗大本山総持寺での修行を経て、実家である秩父札所13番慈眼寺に戻り、98年から住職を務める。目の健康に良いお茶の販売などを手掛ける「株式会社慈眼」の社長も兼務。2003年に「秩父こみにてい」を設立。これまで古民家保存などの活動にも取り組んだ。

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