あれもこれも「コロナ対策」で膨れ上がった21年度予算案 給付金事業は縮小

2020年12月22日 06時00分
 政府が21日に閣議決定した2021年度の当初予算案は20年度第3次補正予算と一体の「15カ月予算」として編成された。新型コロナウイルス対策の名の下に与野党から財政出動への圧力が強まった結果、費用対効果が不透明な政策や、コロナとは関連性が薄い事業に多くの予算が計上された。一方で打ち切りが決まった給付金なども多く、ちぐはぐさが目につく内容となった。(森本智之、大島宏一郎)

◆目立つ「成長目的」

 15カ月予算案では兆円単位の大型ファンドや、6兆円超の国土強靱化関連など与党の後押しを受けた政策が事業化された。
 政府はコロナの感染拡大防止と経済成長・景気回復の両立を目指したが、「成長目的」と思われる事業も目立った。文部科学省などはファンドの運用益で大学の研究を支援する予算を要求。宇宙開発にも2000億円超を求め、いずれも予算化が実現した。

◆35人学級も「コロナ対策」

 最も激しく財務省が抵抗した35人の少人数学級の実現。財務省幹部は「与野党問わず誰もが賛成する中で正しい議論ができなかった」と振り返った。
 予算化の決め手になったのはコロナ対策として教室での「密回避」を求める世論。与党関係者によると、文科相経験者がまとまって財務省に駆けつけ「やるなら今しかない」と迫った。
 ただ少人数学級は即効性があるコロナ対策とは言えない。5年間をかけ段階的に整備する計画だからだ。このことは文科省側も当初から認識していた。

◆企業支援は打ち切り続出

 一方、企業救済策では「コロナ後」を見据えた政策が重要視された。業績が悪化した中小企業を支援する「持続化給付金」は14日現在、給付実績が391万件に達したが、支給は来年1月15日の申請期限で終了。その後は、事業の「業態転換」を果たした企業への補助金に衣替えする。
 「家賃支援給付金」も打ち切られる。企業が出す休業手当を政府が補助する「雇用調整助成金」についても、上限額を引き上げる特例措置は3月以降に縮小されることになった。
 予算編成を担った財務省幹部は「中小企業向けの補助金は(適用)対象を絞り込むべきだ」と明言。別の経済官庁幹部も「支援が常態化すれば新陳代謝が阻害される」と事業縮小の理由を述べた。

◆ワクチンばかりでいいのか

 だが東京商工リサーチの12月の調査では、廃業を検討中の飲食店は11月の調査より増えた。大和証券の末広徹氏は「感染再拡大で経営を諦めるところが出ている」と分析。「ポストコロナ(コロナ後)に予算を充てるより、給付金を維持するなど企業のセーフティーネットに重点を置くべきでは」と指摘した。
 医療関連では補正予算案でワクチン開発費などに4兆7000億円を計上した。ただNPO法人「医療ガバナンス研究所」理事長の上昌広氏は「自宅療養する感染者がオンラインで診療を受ける体制が整っていない」と指摘。その上で「無症状の感染者への対策がおろそかになっているのではないか」と問題点を挙げた。

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