国と都の綱引きで混乱…新型コロナ政策は誰のため?<東京NEWS2020>(1)

2020年12月22日 15時25分

記者会見する小池知事。新型コロナ特措法の緊急事態宣言を受けて休業要請する業種・施設を発表した=4月10日午後、都庁で

 さまざまな業種の店舗や施設が営業をやめ、繁華街やターミナル駅からは人が消える−。新型コロナウイルス感染拡大を受けて国が四月七日に発令した緊急事態宣言は、首都東京の姿を一変させた。この時期、都政の取材で目の当たりにしたのは、未曾有(みぞう)の事態に対する行政の混乱ぶりだった。
 当時、新型コロナ特別措置法に基づき、都道府県知事は国の緊急事態宣言が出た場合、外出自粛や休業要請ができることになった。都は国の宣言発令に先立ち、幅広い業種に休業を要請する独自の対策案をまとめ、六日に都議会に報告。小池百合子知事がこの日夜、記者会見で要請対象の業種リストを公表し、都民に備えてもらうはずだった。
 だが、経済への悪影響を考慮する国は「まずは外出自粛要請の効果を見てから」との考えから、都に水面下でストップをかける。リスト公表は見送られ、小池知事は「国と調整中」と述べるにとどまった。都がようやく対象業種を発表したのは四日後。休業対象になるのかどうか不透明だった業種や施設の関係者は多く、都民から困惑の声が上がった。
 「(知事の)権限はもともと代表取締役社長かと思っていた。天の声がいろいろ聞こえて、中間管理職になったような感じ」と不満を漏らした小池知事。その後も経済維持を重視する国と、感染拡大を防ぎたい都とのせめぎ合いは続いた。
 国の観光支援事業「Go To トラベル」を巡っては小池知事が七月、「冷房と暖房の両方をかけるようなもの」と疑問を呈し、国が事業から東京のみを除外。十月になって東京が追加された後に感染の第三波が拡大し、会見で事業停止の是非を複数回にわたって問われた小池知事は「国の責任で決めること」と突き放していた。
 春以降の国と都の綱引きを「メンツ争い」「都民不在だ」と冷ややかに見る向きは少なくない。感染防止か経済維持か、完璧な正解が簡単に出せるとは思わないが、誰のための政策なのか、そんな疑問はぬぐえなかった。小池知事はこれまでの対策を検証するのかについて「検証どころかING(アイエヌジー)(現在進行)形だ」と発言し、前向きな姿勢は見せていない。
 新型コロナ患者が国内で初めて確認されてから間もなく一年。新規感染者数は過去最多を更新し続け、逼迫(ひっぱく)する医療現場からは悲鳴が上がる。経営が立ちゆかない中小事業者も多い。試練の年末年始を迎えるが、行政はこれまでの教訓や知見を生かし、今後の展望や道筋をいかに示していくのか。都民、国民の意識を高めるためにも、それこそが必要だろう。 (小倉貞俊)
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 コロナ禍はいつ収束するのか、見通しが立たないまま暮れようとしている二〇二〇年。都内のさまざまなニュースを取材してきた記者が振り返ります。

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